第6話
レイラを残して誰もいなくなった町から離れた一軒家。
レイラは馬車の運転手からも目を逸らされて、誰からも愛されないのを痛感しつつも、誰かに愛してほしくなって仕方がなかった。
ギュッ
「お母さん・・・」
唯一の実の母親の形見であるペンダントをぎゅっと握るレイラ。
レイラの父親はレイラが生まれたことに大変ショックを受けたとマルガリータから聞かされていたレイラ。
そんな父親を苦しめたレイラの母親は本当に悪い人だと散々マルガリータから教わって来たけれど、レイラは唯一自分を愛してくれそうな実の母親に会いたいと願った。
(どんなに悪い人でもいい。だって私だって悪い人だもの。だから、私も愛するから・・・私を愛して・・・。そして、無理やりにでもここから連れ出して・・・)
レイラは自分みたいなちっぽけな人間はここでしかやっていけないと思いつつも、もうここにいるのは嫌だとも思っては、自分を戒め・・・でも、思わずにはいられないのを繰り返していた。
「あぁ、もう最悪っ!!全然王子に近づけないし」
「ああ~疲れた~」
レレラが寝ていると、乱暴な声でボロネーゼとデネブの声で起こされた。
急いでみんなをお迎えにいくレイラ。
行かないとマルガリータに怒られると思ったのもあったけれど、やっぱり素敵な話を聞きたいお年頃のレイラ。
色々異母妹たちに聞きたいと思って、みんなの前に行くと、せっかくぴっかぴかにした床が帰ってきた3人のせいですぐに汚くなっている。
「おかえりなさい、ボロネーゼ、デネブ。そして、マルガリータ様」
「お水」
「あっ、はい」
マルガリータに言われて、レイラは急いで井戸から組んであったお水をコップに移して渡す。
「それで・・・どうだったの?」
レイラはボロネーゼたちに尋ねる。
「王子ったらずーっと貴族の女の子たちと話し込んでて・・・がめつい女たち・・・め。全然近づけなかったわ」
デネブの逞しい身体でも近寄れなかったのかと、ちょっとびっくりするレイラは「へぇ~」と改めてデネブの身体を見るが立派な身体だ。
「ん?」
その視線に気づいたデネブが机に肘をつきながら声を出すが、レイラはスルーして
「お城はどうだったの?やっぱり、綺麗だった?」
「そりゃもちろんよ。綺麗にカットされた大理石で造られた床、大きな柱。赤い絨毯を歩いて行くと・・・大きな扉が合って、開けてもらうと・・・もっと豪華で繊細な絨毯と、部屋の両隣にはたくさんの日差しを入れてくれる大きなガラス。そして、上を見上げれば豪華なシャンデリアが私たちを迎えてくれたわ・・・」
ボロネーゼが上を見るのに合わせて、レイラも上を見る。レイラも言われた景色を想像するけれど、全く見たことがないのでよくわからないけどすごいとだけ思いながら心をときめかせていた。
「それで、王子は・・・?王子はどんな人だったの?」
「レイラ」
興奮気味のレイラに頭を抱えているマルガリータが名前を呼ぶ。
「もう、私たちは疲れてんだ、さっさと着替えるのを手伝いな」
「・・・かしこまりました」
3人のお世話をして、再び布団に入ったレイラ。
「やっぱり、私も行ってみたいな・・・お城に」
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