追放サイド 8話 追放者の末路
「うう。ひぐ……」
妹の――
そうだ。
あの日も泣いていた。
父親が消えた日。
他の
お金と危険が釣り合わないと言われても、俺はそれを目指した。
霞む視界が徐々に焦点が合って自分がどこにいるのかを教えてくれる。
目を開けるとそこは【磯川班】の医務室。
何故、この場所で
首輪を付けられ、手足も鎖の着いた輪で拘束され無理矢理両手両足を開かされていた。
そして何よりも
身動きの取れない全裸の少女を岩間が舐め回す。
身長とは裏腹に長く伸びた色白の手足。
幼い顔つきからは想像も出来ないほどに膨らんだ胸。
薄っすらと映えた陰毛。
それらを全て味わうように、自身の唾液と
「おい! 妹に、
「なんだ、もうちょっと寝てていいのに」
と、背後にいた浅田に身体を押さえ付けられた。
普通の腕力ならば日々、トレーニングに励んでいる
だが、羽交い絞めする浅田の手には【特殊装甲】が付けられていた。
【
拘束された
「ほら、騒ぐからお兄さんが起きちゃったじゃんか」
「うう……。お、お兄ちゃん。お兄ちゃん……」
虚ろな瞳に浮かぶ涙。
兄に助けを求める力ない声が医務室に流れ消えていく。
「
「いやー。
カチャカチャとベルトを音立てながら緩め、ズボンを床に落とした。
中心部が膨らんだ下着に嫌でも視線を向けてしまう。
「まあ、でも、ここからがメインディッシュだから、お前も楽しんで見て行けよ」
「貴様ぁ!!」
下着さえも脱ぎ捨て、岩間は拘束した
岩間の動きが早くなるのに比例するように声は小さくなり啜り泣きに変わっていく。
そう言った経験がない
こんな――こんな奴が生きてていいはずがない。
俺が――殺す。
「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!! 殺す、殺す、殺す、殺す、俺が、必ず、お前らを殺す。跡形もなく殺す!」
自分がどれだけ怪我を負っても構わない。
それなのにーー妹にまで手を出すなんて。
全身に力を込めてただ暴れる。
だが、それさえも岩間を興奮させる材料の一つとなる。
向けられる憎悪さえも興奮に変え、腰を動かし続ける。そんな永遠にも思える苦痛の時間が続いたのちに、「イクぞぉ!」と動きを止めた。
重なった身体を退ける。体が痙攣するように震え恍惚に瞳を溶かす。
「貴様だけは……!! 絶対に……絶対に許さない」
行為が終わり開放された
虚ろな目で「ごめんなさい、ごめんなさい」と呟き続ける妹に抱き着き岩間達を睨む。
「はっは。そんな目で見ても無駄だよ。どうせ、お前は直ぐクビになるんだからな。前任者のセナカくんと同じようになぁ」
浅田は笑いながら
感情を失った
「おっほほ!次は俺が使うんだよ。このお人形さんをさぁ」
「や、やめろ!!」
身体を広げて
だが、【特殊装甲】を前にすれば身体を張った盾さえも無意味。骨を砕かれ壁に叩きつけられる。
これ以上は――見てられない。
誰が、誰かこいつを殺してくれ。神にも祈る思いで手を伸ばす。
その先にいたのはーー、
「怒り? 憎悪。そう、とてもいい怒りだ、美しいと言えるほどに」
銀色の髪をした少年だった。
柔和な声色。
【
「なんだ、こいつ! どこから?!」
「煩い? 煩い。今、僕はこの人にしか興味はない。だから、黙ってて」
「ん、んーー!!」
少年がそう言うと浅田と岩間の口が繋がり開かなくなった。
男同士で接吻をしている様だ。
だが、そんなことも目に入らないほど少年に魅入られていた。
神のように美しく儚い少年にーー。
「あなたは、一体?」
「僕? 僕は僕だよ。そして僕は君が気に入った。だから、力を上げるよ」
「力?」
「うん。使ってみてよ。きっと気にいるよ。望みを叶えてくれる力だ」
頭に手を触れる。
血管が脈打ち熱くなる。まるで、体中を蛇が這いまわるかのようだ。
「怒りに任せて開放してみるといい。そこの少女をみて、彼らをみて――どうしたい?」
裸で鎖に縛られた妹。
身動きの取れない少女を、我がための快楽によって
「そんなの――考えるまでも決まってる」
殺したい。
俺はこいつらを――殺したい。
妹をこんな目に合わせた奴らを――殺したい。
「殺す、殺す、殺す、殺す。それが、それが俺の――俺のぉ!!」
◇
「
高層ビルの一室。
暗い部屋に浮かぶ無数のモニタを眺めている
そんな彼女の元に、息を荒げた部下が駆け寄ってくる。
「なんだ、どうした? 新たな【
「いえ、違います。磯川駐屯地が――跡形もなく消滅してます」
「消滅?」
「はい。これが空からの写真です」
「なんだ……これは……」
見せられた映像に映っているのは、まるで隕石でも落ちたのではないかと思えるほどのクレーターだった。
「新たな【
「分かった。直ぐに周囲に【
「分かりました!」
「これを【
未知の【
そこには【三本角の鎧】が映っていた。
◇
「なんで妹がこんな目に合わなきゃいけないんだ……」
夜空から降る雨は冷たい。
【磯川班】を滅ぼしても、妹の意識が戻ることはなかった。虚ろな目で「ごめんなさい、助けてください」と呟き続ける
精神が崩壊していた。
復讐を終えても、心が晴れることはない。
「あいつらが、ちゃんとした人間だったなら」
なら、なんで調子に乗ったんだ?
簡単だ。
前例があったからだ。
追放することに成功し、自分たちは強者だと勘違いしたからだ。
「追放された奴が先に復讐してれば――こんなことにならなかったんだ」
同じ目に遭っていたなら、復讐すべきだった。
自分だけ逃げなければ――妹はこんな目に合わなかったんだ。
なら、そいつを――殺す。
「セナカ……」
どこにいようと見つけ出す。
意識を失った妹の頭を撫でて
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