第6話 成果

「これって、俺達が探すハズの鍵だよな…?でも何でここに・・・・・・?」


 現在、俺達4人はとても困惑している。その原因となるのが、目の前にある黒い箱に入った大量の鍵だ。十中八九俺達が探している鍵なのだろうが、なぜここに・・・?


「さぁ・・・。よくわかんない」


 俺達はうーんと唸りながら悩んだ。正直胡散臭い気がするが、この学校が偽物を置いておくなんてことはしないと思う。取り敢えずダメ元で行ってみるか。


「よし、取り敢えず持って行ってみるぞ」


「そうね。違ったらまた探せばいいし」


「では、早速持っていきましょう」


 詞音がそう言うと、箱の中から鍵を一つ取り出して先生のいる方へ向かった。俺達もついていきながら、どうせ違うのだろうなと思って鍵を渡したのだが、


「お~、正解だ。すげぇなお前ら。もう見つけちまうなんてな」


 沢尻先生が感心したようにそう言った。マジかよ。


「先生、それ本当に合ってます?」


「ん?合ってるぞ?なんでそんなこと聞くんだ?」


 先生が不思議そうな顔でそう聞いてきた。いや、逆になんで聞かないと思ってたんだよ。


「それはだって、普通だったら皆が集合する場所に置くとは思わないじゃないですか」


「そうだな。その通りだ」


「なら何故ここに置いたのですか?」


「だからだよ」


 俺の問いに先生は、なんてことのないようにこう言った。


「お前らは全員ここに集まる。だからここには置かないだろうと思いこむ。つまり、ここに置けば誰も気づかない。どうだ?頭いいだろ?」


((((性格悪い{な・ね~・わね・ですね}…))))


 おそらく、四人の思ったことは一緒だろう。思考が犯罪者のそれだ。


「先生、よく性格悪いって言われません?」


「まあまあいいじゃないか、見つけられたんだし」


「大多数の人が見つけられなきゃ意味ないですよ」


「それは見つけられない奴らが悪い」


 ほんとにこの人、イイ性格してるよ。まあいいや。


「それで?俺達はどうしてればいいんですか?」


「そうだな…、適当に雑談でもしといてくれ」


「テキトーですね…。まあ、分かりました」

 

 それから俺達は、雑談をするために、体育館の隅の方へ移動した。


「さて、喋るか」


「とは言っても、何を喋ろうかしら」


「まあ、いきなり喋っていろと言われてもな…」


 俺達3人がう~んと唸っていると


「あの、私皆さんのことが知りたいです」


 と、詞音が控えめに手を挙げながら言ってきた。


「あれ、俺達のこと話してなかったっけ?」


「そうね。話してないわね」


「え、何で言ってくれなかったの?」


「だって聞かれてないもの」


「えぇ・・・」


 普段なら俺が気付く前に言ってくれるんだがな・・・。冷たいんだか甘いんだか。


「まあ話してもいいが、正直つまらんと思うぞ。それでもいいのか?」


「私から聞きたいと言ったのですから、構いませんよ」


「そうか。なら、どこから話すか」


「最初からでいいんじゃない~?」


「いや、最初ってどこだよ」


「無難に小学校の頃からでいいんじゃないかしら」


「そうだな。それでいいか?詞音」


「はい。お願いします」


 それから怜は、雑談という名の三人の昔話を話し始めた。





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