第3話 ナンパ撃退

 2人に指示をだした後、俺と美月姫は不良共と女の元へ向かった。するとその時、男の1人が女の腕を掴んだ。


「いいから来いって言ってんだろっ!」


「きゃっ…」


「はいお持ち帰り~」


「いや…誰か…」


 まずいと思い、急いで男どもの元へ行き、女の腕を掴んでいる男の腕を掴んだ。そして、手を離すよう言ったのだが、


「あぁ?んだよテメェ」


「その手を離せ。彼女が嫌がってるだろうが」


「テメェには関係ねぇだろがよ。すっこんでろ!」


 といった感じで離さなかったので男の腕を掴んでいる手に力を入れた。すると、


「いっ…!ってーなー!なにしやがんだテメェ!!」


 男は顔を歪ませながら手を離した。少し力を入れただけで離したので、案外簡単だった。そして掴まれた腕から解放された女は無事、美月姫に保護された。見たところ怪我がないので一安心だ。


「お前が彼女を離さないから強引にでも離しただけだ」


「ふざけんざねぇぞテメェ!!」


「おいガキ。俺達を舐めてると痛い目みるぞ」


 突然、今の今まで空気だった男が俺を睨み付けながらそんなこと言ってきた。正直、あんな奴らにやられるほど軟ではない。それに、こいつらの相手をするのも面倒臭くなってきた。なので、あいつらを挑発して、襲い掛かってきた所を倒すことにした。


「痛い目を見る?悪いがお前らみたいな雑魚にやられるほど俺は弱くないんでな。痛い目見せれることなんて、一生かかってもお前らには無理だろうな」


 精一杯の煽り顔をしながら、そんなことを言って安い挑発をすると効果は抜群。男どもはワナワナ震えながら拳を握り、額に青筋を浮かべた。


「絶っ対ぇ許さねぇ…。ぶっ殺してやる!!」


「俺達を怒らせたことを、あの世で後悔させてやる!!!」


 などと言いながら拳を大振りで構えて、二人同時にこちらに駆けだし、二人同時に拳を放ってきた。普通の人だったらかわすことすらできないだろうが、俺は柔道をやっているので難なく拳をつかめた。

 拳をつかまれるのが予想外だったのか、二人とも目を見開いていた。その隙に俺は、一人の足を掬って空中で体を浮かせ、腹を拳で殴った。すると男は勢いよく地面に衝突し、気絶した。もう一人の男も足を掬い、今度は顔面を勢いよく地面に叩きつけた。こちらは鼻血を出しながら気絶した。

 丁度その時警察が来たので、事情を説明し、男どもを連行してもらった後、すぐに保護している女の方へ向かった。


「お疲れ様。怜」


「おつかれ~」


「ああ。それよりその子は大丈夫なのか?」


 そう言ってさっき助けた女の方を見る。改めて見てみると、結構な美人だと思う。スラーっとした凹凸の無い体に、腰の位置まで伸ばされた癖のない艶やかな黒髪をしている。凛とした顔立ちをしていて、大和撫子という言葉を連想される容姿をしている。


「え、えっと…私は高城詞音たかしろことねです。あ、あの…助けていただいてありがとうがざいました!」


 そういう言いながら女こと高城詞音は俺達に頭を下げた。だが、先ほどの男どもへの恐怖が抜け切れていないのか、カタカタと震えている。


「まぁ、君が怪我とかしてなくてよかったよ」


「そうね。傷とかがなくて安心したわ。さて、どうする?」


「そりゃあ、送り届けるでしょ?ねえ怜」


「そうだな」


「そ、そんな…これ以上迷惑はかけられません。自分一人で帰ります」


 首を横に振りながら彼女はそう言った。


「迷惑かけるとかかけないとかの問題じゃないんだよ~。俺達がこのことに関与している以上、最後まで責任もって役目を果たしたいんだ~。それに、もしまた同じようなことがあって、そこに俺達がいなくて君に危害が加えられたりしたら、目覚めが悪いからね」


 蓮がそう言うと彼女の目が見開かれた。


「そう言うことでしたら…その、よろしくお願いします」


「よし。じゃあ行くか」


俺がそう言うと3人は頷いた。




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