第6話 ストーリー2

彼、斎藤真は困惑していた。なぜ、彼女、北条美咲は、教えられることはもう教えつくしたと言ったのにまだ絡んでくるのか。人付き合いの性質上最低限のことなら彼も別段、そんなものだと納得できただろう。しかし、彼女は前の関係性と同じように絡んでくるのだ。最初は彼女が勝手に仲良くなったと勘違いしたためだと思っていた。しかし、いくら不愛想に返そうとも、執拗に絡んでくるのである。それは当然、彼にとっては不思議なことである。もしかしたら彼以外だったら「俺に好意があるのかも?」と舞い上がったりもするだろう。しかし、それには好意とは別の理由があった。彼女が彼に執拗に絡む理由、それには彼女の特殊能力が関係していた。彼女、北条美咲は未来が見えるのである。そして彼女は斎藤真の未来を見た。それはとにかく悲惨なものだったのだろう。彼女はそれを変えたいと思ったわけだ。しかし、彼はそれを知らない。だから困惑するというのもある程度は仕方のないことだろう。

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