うちの農地を乗っとる気か
カルテン侯爵家は
一族は男女問わず低級男娼館『サーカス』に売られた。
不敬罪で縁座による公開処刑となるか、生きる道に縋るか。
二者択一によって選ばざるを得ない道を恨むよりほかなかった。
『サーカス』というだけあって、ここは獣姦を見て楽しむ場所だった。
表舞台には元当主とその息子。
つまりカルテン一族の没落を導いた親子が責任を負うことに。
残りの一族たちはそんな動物の飼育員だった。
……そこに人間は含まれない。
男娼たちは自分のことは自分でするしかなかった。
クラーク家は一家離散しました。
平民として生きることが決まりました。
クラーク夫人は真っ先に離縁を突きつけてレイロッドの弟妹を連れて実家へ。
しかし実家は夫人の出戻りは許さず弟妹を奪われて追い払われました。
考え方を変えると温情です。
侯爵から子爵になりましたが、弟妹は貴族に残れるのです。
ただし厳しい教育者の当主夫人がいるため、いちから再教育されるでしょう。
あの、ホットケーキの話で件の令嬢の再教育を計画しているため、一緒に行われることでしょう。
夫人は加虐趣味のあるという北部の辺境伯の何番目かの愛妾として連れていかれました。
加虐趣味と申されますが、実際は再教育のときに小さい子と同じくスカートをめくって直接お尻を乗馬用鞭でペンペンされるのです。
「仕方がありませんよ。幼な子はよく言い聞かせれば良いと悪いを理解します。ですが、年月が経った元子供には言い聞かせるとそれから逃れる方法を考えて抗おうとします。そのため薄い皮膚の子供には一発お尻を叩くことで叩き込めた常識を、鞭で何発も叩く必要が出るのです」
このお尻ぺんぺんは、王家の馬車馬の調教師時代の名残り。
北部は冬は息も凍り、夏でもコート着用という極寒の厳しさで有名な地域。
ですが女性を性道具として見ず、一人の労働者として認められます。
男性と同等でいたいなら、最低限の礼儀とマナーは身につけなくてはなりません。
レイロッドはカゲイユ侯爵家の
働けば生活が豊かになる。
働かなければ一年間の食事もままならない。
そんな日々を送り、やっと五年目にして貴族の愚かな考えが洗い流されたようです。
大変神妙な手紙が届いたのでカゲイユ侯爵に確認をしたところ、与えられた農地がようやく農作物を植えられるまで土壌が良くなり、昨年になってようやく小麦の種が撒けたそうです。
鳥害にあったものの六割は収穫できたそうです。
私が受け取った手紙には『自分で何かを生み出せることがこんなに素晴らしいとは。いつかこの大地全体を小麦の絨毯で輝かせたい』と夢を語ってて、カゲイユ侯爵は「うちの農地を乗っとる気か」と苦笑しています。
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