第6話 強くなるためにⅣ

 

セレーナの持つ膨大な魔力を、俺に流し込むことで限界値を強制的に超えさせる…というわけか。


ダク:「だが、それは危険ではないのか?

俺の予想…というか疑問なのだが、異なる魔力の持ち主で流したら、アレルギー的な反応で俺の身体に変な影響でたりするのではないか?

また、魔力の限界値を外部から増加させるのは俺の命が危なそうだが…。そこはどうなんだ?」


俺はリスクの方が高いのではと考えた。


セレーナ:「まず、アレルギー的な部分ですが、こちらの方でダクさんの魔力質を合わせます。私からしたら難しくないことなので、この件は安心です。

後者ですが、これはダクさん次第…でしょうか。主に気力…の方です。膨大な魔力を一気に受けると、ヒトは酷く酔った感覚に近くなると言われています。

受ける魔力の度合いが大きい程、自身の気力が持たず…諦めてしまうと、そのまま意識をあの世へ手放してしまう可能性があります。が、こちらの方では私が危険と判断した場合は流し込みは中止しますが、完全に流し込めていないと、魔力の不調和ということで…結果、後遺症として残ってしまう可能性も否定できません。」


なので、ここはダクさん次第になる…とセレーナ。


ダクは、念の為に一通りの説明を聞いたが、既に決心はついていた。


ダク:「よろしく頼む。俺はセレーナを信頼してるし、俺もそんな程度では死なない。その程度、乗り越えられる。」


セレーナ:「………。…わかりました。私もダクさんは信じていますので、その意気込みがあれば乗り越えられると思っています。…では始めますね。私の手にダクさんの手を合わせてください。同質の魔力を生成できたら、常時そこから魔力を流していきます。絶対に手を離さないでくださいね。」


ダク:「わかった。」


そういって俺はセレーナの手に俺の手を合わせた。

セレーナの手は女性の手であり、俺よりも小さい手だった。


セレーナ:「……………」


ダク:「……………」「……………!」



何かが手から体内に流れていく感触があった。

これが魔力だろうか。



セレーナ:「………………」


ダク:「……………!」「………………っ!」



セレーナが俺に合わせた魔力が、俺の体内に流れ続ける。

やがて今の俺の容量を超えた魔力が、体内で溢れ出ているのを感じる。セレーナの言ったように酔う感覚が襲ってきた。


ダク:「くっ…………っ!!」

次に視界がおかしくなってきた。

ぐるぐると回り、目眩を起こしている。




ダク:「くっ…………がぁっ……!」

やがて、立っている事すら困難になってきた。


この手を離して楽になりたい。

それすら考えるようになった。


しかし、俺は決めた。

強くなると。

こんな所でへこたれるようじゃいけない。



現にセレーナは俺を信じている。

俺が信頼を裏切る行動をとってどうする…!

まだ…まだ耐えるんだ…!


超えろ…俺の限界を…!




ダク:「ぐっ………がっ……ぁ…」


流石に、俺の命の危険がスグ近いような気がする。

生きてる心地がしなくなってきた。


呼吸…しているのか?

俺はまだ生きてるのか?

…とさえ思える程度に。


(粘ってきたが……もう無理だ……すま……な…)

セレーナは、まだ俺は耐えられると信じているようだが…すまない…。


そう思いながら、俺がとうとう手を離そうとした瞬間。


セレーナ:「…ダクさん、魔力合わせが完全に終わりましたよ。」


ダク:「はは……きたい……させすぎだろ……が…」


そこで俺は気を失った。

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