第5話 強くなるためにⅢ
ダク:「それで、スキルのトレーニングとはどんなことをやるんだ?」
セレーナ:「そうね、いきなり"これ!"って始めても難しいだろうし、まずは今のあなたの実力を見たいわね。見せてもらっていいかしら?」
ダク:「わかった。」
◆
俺はセレーナにスキルの状況を見せた。
基礎強化スキルや高速移動スキル発動の場面では、体力・筋肉・瞬発の強化の成果があったのだろう、あの頃よりも軽快に移動出来たので、かつての自分より明らかな成長を感じることができた。
理解スキルに関しては、口頭でこんな感じだと説明した。(他の人の目には見えないスキルであるため)
全属性魔法は、主に火水風雷の4属性が扱える。
だが今の俺には、
火は小さい火球が・水は小さい水の弾が・風は弱い風を起こせる程度・雷は静電気程度のパチッという魔法が放てる程度である。
我ながらショボいと思っていたり。
てっきり
(まだその程度なのですね)
とでも馬鹿にされるのかとも考えたりしたが、
セレーナ:「…なるほどね。」
と、かなり現状の俺のスキルを真剣に分析してくれていた。
セレーナは、もしかすると心を許す相手には近く寄り添ってくれる相手なのかも…とその時俺は思った。
セレーナ:「そうですね…。1つずつスキルを磨いていきましょうか。まずは、高速移動からいきましょう。簡潔に話すと、高速強化と基礎強化辺りは詠唱しない程度までマスターしていこうと思います。」
ダク:「詠唱しなくてもスキルは発動出来るのか?」
俺が最初にスキルを発動した頃も、言葉に出さないと発動出来なかった為に疑問を持った。
セレーナ:「はい、全てのスキルでは無いですが可能です。最初の頃にも言いましたが、スキルの発動において大切なのは"体力"と"意思"です。
"詠唱"はスキルの発動性を高める1つの方法だけであって、無詠唱だから発動出来ないとは限りません。ただ相当な鍛錬とコツが必要になりますが。」
中々に厳しいトレーニングになりそうだなぁとダクは感じた。
セレーナ:「やる事は難しくありません。ひたすらに心の中で強く唱えること。そしてスキルと1つになる感覚を持つことです。分かりやすく例えるなら、スキルを生き物のように大事に扱うことです。そうすることで最大限の威力を発揮しますよ。」
心の中で強く唱えることは難しくなさそうだが、スキルと1つに…そして大切に扱う…は改めて考えると難しいのでは…?と思った。
セレーナ:「とりあえず何回も試しましょう。やらなければ始まりませんからね。」
ということでスキルトレーニングが始まった。
ダク:(心の中で強く唱える…)
ダク:(瞬間移動…!)
ヒュン…!
確かに少し速さが増したようである。
セレーナ:「それをひたすら練習です。その感覚を持ちながら1つになる感覚を掴んでください。」
◆
時間は経過し…。
ダク:(瞬間移動…!)
……ヒュン………!!!
ひたすら2地点を移動。
俺はひたすらスキルを使用し、練習を重ねた。
やがて、セレーナからは、
「私の目で追うのもギリギリになってきましたね…。ええ、合格ではないでしょうか。」
とokを貰うことが出来た。
続いて基礎強化だが、瞬間移動と同じ要領で練習してみるとアッサリとセレーナからokが出た。
セレーナ:「いい感じです。後は魔法ですね。…正直てっとりばやい方法があるのですが…」
ダク:「今までのやり方とは違うのか?」
セレーナ:「そう…ですね。どちらかと言うと強引なやり方ではあります。」
ダク:「どんな方法なんだ?」
セレーナから返ってきた言葉は意外な方法だった。
セレーナ:「魔法などのスキルは、主に自身の体内にある"魔力"というものを利用します。
瞬間移動や理解スキルも魔力を僅かながら使っています。ですが、魔法系のスキルはそれらに比べて圧倒的に使用する魔力量が多いのです。
ダクさんはトレーニングなど行いましたから、他に比べれば圧倒的に基礎魔力の量は増えてはいます。が、まだ夢の為には不十分であるのも事実です。」
ダク:(つまりは魔力がスキルの源ってわけか…。)
セレーナ:「そこで、強引な方法というのはですね…
魔力を私からダクさんに直接流し込み、ダクさんの今ある魔力の限界を、外部から強引に超えていく…という方法です。」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。