第2話 新たな地での出会いⅡ
【地:ピフルス森林】
ダク:「この地の精霊?ってことはこの森林の主みたいなものか?」
セレーナ「まぁ…そうですね。そのように捉えていただいて。この地の安定を保つことが私の使命でございますので。そして、突然攻撃をしてしまい申し訳ありません。」
セレーナは深々とお辞儀をした。
改めて近くで見ると、整った綺麗な顔立ちで髪は金色ロング。頭には花の冠が着けられており、スラッとしたスタイルだ。よく見ると、背中に透明な羽が見える。確かに邪な気持ちで近づく人もいる事は頷ける。
ダク:「いや、急に声をかけた俺も悪かった。もし俺が信用に足りてなかったらどうするつもりだったんだ?」
ふと気になったので質問してみた。
セレーナ「そうですね…まぁこの地を荒らす者として相応の処罰はしてたでしょうね。最悪この地の土壌になってたかもしれません。」
ダク:(oh…)
セレーナ「ところで、この世界について分からないと言っていましたが、具体的にどこまで分からないのですか?
あと、失礼ですが、先程こちらでスキルの方を使い、ダクさんが信用に足りるか調べさせてもらいました。」
この方は信用できると判断できたので、お話をしています、とセレーナ。
ダク:「そうか、それなら良かった。どこまで…というより全部かな(笑) 天界?と言われる所で、神からスキルの存在と、大雑把なこの世界については教えてもらったな。」
セレーナ「なるほど…ホントに最低限って感じですね。まぁ神様も忙しいですから、仕方のない事かもしれません。」
ダク:(忙しい…というより面倒そうだったが…)
流石にその言葉は心中に留めておいた。
セレーナ「そうですね…
まずはこの世界について教えましょうか。
この世界には、ダクさんと同じ人間やモンスターが多く生息しています。モンスターといってもドラゴンや人間とのハーフ族、魔物やアンデッドなど幅はかなり広いです。敵対するモンスターもいれば、話せば分かるモンスター・寧ろ人間に好意的なモンスターもいます。なので、一概に悪と決めつけないことを覚えておくと良いですよ。一部の人間は悪と決めつけている方もいますので。」
ダク:「なるほど…俺も、正直人間じゃなくて、モンスターだったら危険な存在と認識して、どちらかといえば"悪"と決めつけていただろうな…。」
セレーナ「認識を改めて貰えたなら幸いです。
そうですね…次はスキルについて知る限りの説明をしましょう。」
セレーナ「スキルは、主に個人の体力や意思の程度によって威力、発動に差が出ます。
スキルを極める方法は様々です。トレーニングなどをして、体力を伸ばしてスキルの回数を求めるか。
もしくは"質"にこだわって1つ1つの威力にこだわるかなど…。つまり、スキルの伸ばし方は様々です。
その人に合った伸ばし方を探すのがベストでしょうね。」
ダク:「へぇ…。ちなみに、俺のスキルにはスキル名の後にFやらGがついているんだが、これは上達度とか威力の値って事なのか?」
セレーナ「そうですね、最低値はGで、最高値は今のところSと言われています。今のところですので、もしかするとその上…とかもあるかも知れませんが。」
つまり、今の俺だと、"G"や"F"のスキルはまともに扱えているスキルでは無いってことか…。
今あるスキルを如何に使うか…質を上げるかって事が大切ってわけか。
セレーナ「それで、あなたのスキルとは何があるの?私と話せる事が出来るから言語スキル?」
ダク:「あぁ、【理解】スキルってのと、他に…………………ってのがあるが。」
スキルを一通り話した後、セレーナは驚いた顔をしていた。
セレーナ「えぇ!?あなた、そんなにスキルを持っているの?普通は神から1つだけしかスキルを与えられないはずよ?なぜあなたはそんなにもスキルを…?」
ダク:「まぁ…そうだな。【理解】スキルのおかげなんだ。このスキルはどうやら言語や物質だけでなく、スキル自体も"理解"することが出来るようだ。だから、他のスキルは神がいくつか候補に上げてくれたスキルを"理解"によって得られたスキル…ってわけさ。」
セレーナは驚いていた。
その後、少し考えた様子になり、やがて…
セレーナ「…ねぇ、あなたはこの地で何をしたいの?」
と突然話題から大きく外れる質問をしてきた。
セレーナに何か俺に対して思うところがあるのだろうか。
俺は流石に驚いたが、真剣な様子であるため改めて考えてみることにした。
俺は何かしたい…か。
…
……
………。
ダク「…そうだな。俺は、俺にしか出来ないことを成し遂げてみたい。俺は、"一人で"この世界をすべて回ってみたい。そして自身の目で、耳で、全身でこの世界を楽しみたい…。そう思っている。」
これは俺の本心だ。
ここに転送されて、何をしたいかなんていきなり言われても正直困る。だが、俺は悔いのない生き方をしたい。
そう考えると、やはり世界を見て回るというのは、自分の中で一番悔いのない生き方ではないだろうか…と思ったのだ。
セレーナ「そう。…はっきり言わせてもらうと、この世界は勿論全てが平和ではないわ。
ある地では争いが、戦争が。
ある地ではもしかすると別の種族に支配されたりしているかもしれない。すべてを回るというのはね、はっきり言うけど相当な実力がないと無理よ。…それでもあなたは回りたいと思う?」
ダク:「…あぁ。実力がないなら上げればいいだけだ。そのための苦労なら、いくらだってしてやるさ。自分の実力を上げて損する事は、まず無いからな。
そしてここからは俺の予想だが、恐らく俺のスキルは周りとは一風違うだろう。最初に選んだスキルや、主にスキルの所持数がな。」
セレーナ「そうね。あなたのスキルの所持数はかなりレア…というか他にいるのかしらね…。…そこまであなたが強い気持ちを持っているなら、私もあなたの強さに貢献しようと思うの。どうかしら?」
どうやらセレーナは俺を強くする事に協力してくれるらしい。今の俺にとっては上手い他にない。
ダク:「強くしてくれるなら、是非してほしいが…。そこまでしてセレーナには得は無いんじゃないのか?」
セレーナ「そうね…こうやって害の無いと分かってるニンゲンとお話できることを教えてくれたお礼…とでも受け取って貰えたら、ね。後は単純に貴方に興味が湧いたからかしら。」
セレーナは少し嬉しそうな表情をしていた。
ダク:「そ、そうか…。なら暫くセレーナにお世話になろうと思う。足を引っ張ると思うが…どうかよろしく頼む。」
セレーナ「えぇ、こちらこそよろしくね。」
そうして、俺とセレーナは強く握手した。
……初めての友達(?)は同じ人間ではなく妖精であるとは思いもしなかったが。
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