ごきげんよう、ご無沙汰しておりました。
遠い日への憧憬と、哀しくて切ない、だけれど思い返すたびに優しくて温かい気持ちになれるような、そんな素敵な掌編をありがとうございました。
誰にだって、過ぎ去った、煌めいていた日の思い出があるのだと思います。
そしてそんな煌めく思い出を象るような、それを見るたびに思い返すようなモチーフがあるのだろうなと思います。
陽介さんにとっての靴は、明日香さんへの憧れを象徴する、そして卒業の日にそれを残していってくれた明日香さんへの想いが形になったようなモチーフだったんでしょうね。
そして今、それが佐奈ちゃんにとっても大切なモチーフとなっている、素敵な連鎖だと思います。
それを貶された哀しい気持ちも含めて、きっと彼女にとってもこの秘密基地が、靴を描く陽介さんが、そしてそこで一緒に絵を描く自分自身の姿が、いつの日か彼女の大切な思い出を象るモチーフとなるのだろうな、とも。
素敵な物語を、ありがとうございました。
作者からの返信
お久しぶりです、お越しいただきありがとうございます!
しばらく他サイトでイベントに没頭していたので、あと3作ほどこちらにも載せます。
過去の自分の思い出と、それを振り返る自分とを、そのまま物語にしてみようと思って書いたものですが、真っすぐ伝わったようでとても嬉しいです。
私は学生時代に頻繁にギャラリーに通っていた事があるのですが、大抵そこには何かその人だけの思い入れのあるモチーフがあって、その由来を知るとまた作品の見え方が変わる、という体験を何度もしていました。
誰かが大切にしているもの、秘密基地のように心に抱いているものは、容易には理解されない部分もありますが、それを共有できた時の喜びは例えようのないものです。
いつか自分にも、そんな誰かが現れて欲しい、という密かな願望も込めて佐奈を描いたので、そんな風に読み取っていただけると少し照れます。
こちらこそ、ご感想ありがとうございました!
お話の秘密基地という、大切なものと生きづらい人の、それでも一生懸命生きているために嫌いになる、好きでいることというのがとても読み取れて、優しい気持ちになりました
作者からの返信
このお話は「誰でも大切なものはそれぞれ違う」と「ボイドの手帳」でフランが言った言葉、そのままのお話でしたね。
自分にとって大切な物事を他の誰かと共有するのは、同じものを大切にしている者同士でも難しい時があります。それは突き詰めれば孤独な思いを抱えるという事なのかも知れません。孤独が嫌であれば、嫌いになるしかない。
ですが、分かりあえなくても理解しあう努力は出来るし、少なくとも「この人にとって大切なものなんだ」と思って受け入れようとする人は、その人まるごとを大切にできる人なんだろうと思います。
そんな事を描きたかったお話なので、最後に優しい気持ちになっていただけたなら良かったです。