第67話 心霊スポットでとれたもの
連休を利用していくつか心霊スポットを巡った。
そこで大量に撮った写真と動画にらしいものがいろいろと写ったので、霊感のある友人に見てもらうことにした。
「これ、オーブがたくさん」
「ホコリだね」
「こっちは、オーブ一つだけだけどほんのり色がついてて」
「虫」
「ここ、ここに顔!」
「シミュラクラ現象」
「写真の隅に知らない人が!」
「知らない通行人が写り込んだんじゃない?」
「写真全体に謎の光!」
「まあ、文字通り光の加減だねぇ」
写真は全滅。
しかしここでくじけてはいけない。
次は動画の番だ。
「周りの藪からガサガサと誰かが歩く音がですね」
「山だからねぇ。動物じゃない?」
「建物の中からトトト……って」
「ネズミでしょ」
「どこかでギィィってドアの開く音が……」
「家には家鳴りって現象があってだね……というか廃屋に勝手に入るのは不法侵入だから止めようね?」
「周りに人も車もないのにいきなりエンジンの音が!」
「地形と気圧によりけりだけど、何キロも離れたバイクの音が聞こえることもあるらしいよ」
「何言ってるかはわからないけど、何者かの声が!」
「だから動物だって」
……。
…………。
…………………。
動画も全滅した。
ついでに心霊系動画のダメ出しを片っ端からされた気分だ。
やはりそういった特殊な現象などそうそう起こるようなものではないのだろう。
俺はすっかり気落ちして背中を丸めた。
友人はといえば、そんな俺を無視して何やらメモにさらさらとペンを走らせている。
もしかして「ここなら絶対」というようなスポットを紹介してくれるのだろうか?
かすかな期待を胸に待っていると、やがて「はい」と差し出されたそこには、電話番号と住所……とお寺の名前。
「なにこれ?」
「うん、とりあえず急いで後ろのそれお祓いしてもらった方がいいよ。あ、一応言っとくけど、さっきの写真と動画は本当に全部そう見えるだけで、心霊とはまったく関係ないから」
これは…………喜んでいいのか、怖がっていいのか……。
「ちなみに……いま写真撮ったら……写る?」
「たぶんね。でも刺激された反動で一歩道路に出た瞬間に事故るかも?」
その返答になんとも言えない表情になってしまった俺に、「だからさ」と友人はチョイチョイとメモを指しながら悪戯っぽく笑う。
「このまま気づかないふりして大人しくそこに行くのをお勧めするねぇ」
この後すぐお祓いに行った。
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