第十五章 その男、偽物
第十五章 その男、
最後は本を引き渡して
気分を変えたくて
店の扉の前に来たところで、
「
店の扉が開いて、呼び止められた。
「入らないの?」
「・・・入る。」
私は
店に入ると、驚いたことに奥のカウンター席に
「あれ、お
男の一人が私に気づいて言った。お
「どうも。」
私はそう言いながら二人に向かって軽く頭を下げてお
「最近も良く来るんですか?」
もう一人の男も私に気づくとそう尋ねて来た。
最近もというのはマスターが変わってからという意味だろう。二人も少なからず前のマスターに
「はい。最近もよく来ます。」
私はそう答えた。
「何にしますか?」
「マルガリータ。」
私は
「はい。」
「今日はさ、若いマスターが
男の一人がグラスを
「今じゃそんなこと言ってるけど、マスターが変わったばっかりの頃は二度と行かねえって言ってくせに。」
もう一人の男が
「そりゃあ、あれだよ。前のマスターとは長い付き合いだったからさ。急に新しいマスターですって言われたら、あれ?ってなるだろう。でも今はメチャクチャ気に入ってる!」
男はそう言いながら
「ねえねえ、お兄さん名前何ていうの?」
「
圭が答えた。
「
男は
「
男はマイクを持ったレポーターになったつもりでそう尋ねた。
「ご
「あーはぐらかした!」
男は子供っぽく口を
「どうぞ。」
「ありがとうございます。」
私はそう言ってグイっと一口飲んだ。
「お
「すみません。
「
「前のマスター、まんま
もう一人の男が言った。
「そうだったっけか?」
「お前が前のマスターに名前を聞いてた時も隣にいて、一緒に聞いてたから間違いない。」
「俺ってば前のマスターにも名前聞いてたのか?
「何で昔からの
「
もう一人の男が
私は
圭が氷を買って店に戻って来ると、私は
「あとで行くから。」
二人の客に聞こえないように
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