第十三章 雨宿り【R】
第十三章
私も帰ろうと、玄関を出たところで呼び止められた。
「
私を呼び止めたのは
「はい。」
何の用だろうと思いながら立ち止まると、奥様が着物の
「奥様、走ったら
私はそう言ったが、聞こえなかった様子で
「これを
奥様はそう言った。よく見ると髪は乱れ、着物には
「これは?」
息を切らしながら奥様が渡して来たのは茶色の紙袋だった。
「ラーマーヤナです。」
奥様は紙袋を私に押し付けて言った。決して
「開けても?」
「いいですけど。決して読んではいけません。うちの人は何もしなかったから
奥様は
「主人からは昔、ラーマーヤナの
奥様はこの本に
「分かりました。私の方から
私は本を再び紙袋にしまうとそう言った。奥様はホッとしたような
「ごめんなさいね。」
奥様は私の背中に向かって最後にそう言った。
最寄り駅に着いて、駅から家に向かって歩き始めると急に雨が降り出して来た。私は
お
「いらっしゃいませ。」
顔を出した男が言った。
「こんばんは。」
「お
「そう。編集長の代理でね。
「待ってて。
男はそう言って、中に引っ込むと塩を取って戻って来た。サラサラときめの
店内を
「ここの
「
男は
「今日は何にする?」
「マルガリータ。」
「好きだね。」
「うん。」
男がシェイカーを振るカクテルなら何でも良かった。私はこの男が体を
「どうぞ。」
「ありがとう。」
私はそう言ってグイっと一口飲んだ。
「今日も
男は
「今日は
「そう。」
「朝まで
「そう。」
私は紙袋に目を落とした。雨の中を家まで走ったら本がびしょ
「何か持っているね。」
男も紙袋に目を落として言った。その目は私には見えない何かを見ているような気がした。
「
男が
「うん。」
恋人同士のように一本の
「ねえ、名前は何ていうの?」
私は男に尋ねた。この男と寝るのは三度目になるが、まだ名前を知らなかった。
「
「ケイ?」
「そう呼び捨てにしていいよ。」
下の名前で呼びたかったわけではない。ただケイというのが死んだ猫の名前だったから
「
「何で私の名前を知っているの?」
「何度も家に来たから。」
ベッドの上にあがると、
私は私の胸に顔を
「今日は髪に
「
「足を
「感じる?」
「うん。」
そう答えると、
「
「気持ちいいんだね。」
「もっと。もっと動かして。」
私はゆっくりした指の動きがじれったくて
「分かった。一度目は手でイカせてあげる。」
「もう
「大丈夫。」
そう答えたものの、すでにぐったりとしていた。お
「入れていい?」
「うん。」
私は自分だけ
「入れるよ。」
圭はゆっくりと
「
「
私の
「じゃあ、そうするよ?」
「痛かった?」
「ううん。」
私は強がり続けた。見かねたように
「また明日しよう。」
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