第十一章 オカルト・ライター
第十一章 オカルト・ライター
「マスター、同じのもう
「はい。」
奥のカウンター席の男が
「どうぞ。」
男が新しいグラスを置くと、
「ねえ、マスター。あちらのお
「ええ。」
男は
「この
二人の会話は私にも聞こえていて、この金持ちらしい男にナンパされそうになっていると思った。男は
「あちらのお客様からです。」
私は
「私は
「どうも。
私は
「初めまして。
「はあ。」
私は
「
「いいえ。」
変な質問で何の
「そうかい。じゃあ、物を書く仕事に
「ライターの仕事をしています。」
「あっ!それならうってつけだ。私、小さな会社をやってるんだけどね。うちに
「
「はい。」
私の勤め先なのだから当然知っている。
「今月号でね。『
「書きます。」
私は引き受けた。
「いいね。
「はい。」
「じゃあ、
「
男が閉じた扉の方を見てポツリと言った。
「よく来るの?」
「二、三度程度かな。」
「そう。」
私はもらった
「ねえ、さっき話の続きをしてもいい?まだ聞きたいことがあるの。」
私は
「何?」
男は私の方を見た。
「
私はさっき尋ねられなかったことを尋ねた。何となく答えに
「
男は言いよどむことなくそう言った。
「やっぱりいるんだ。」
私は
私は翌日には
「もしもし、
「え?はい。」
私はもう連絡はないものと思っていたので驚いた。
「いい
「わざわざご連絡を頂き、ありがとうございます。」
「いえいえ。実は用件はこれだけじゃないんです。詳しいことをご説明したいので、もし宜しければ今夜七時にあのバーでお会いできませんか?」
「はい。
「良かった。では午後七時に。」
午後七時、時間通りにバー・カルティック・ナイトに着いた。
「いらっしゃいませ。」
男が私を出迎えた。
「こんばんは。
「まだ。でも別のお客さんが来ている。」
男は小声でそう言って、店の奥に目をやった。視線の先には二人組の男がいた。一人は
「我々はこれで。」
「あの人たち何しに来たの?」
「その口ぶりだと
「
「正直に全部本当のことを言った。あなたが店にいた時間、店を出て一緒に過ごした時間。もちろん何をしていたのかも話した。」
「いやあ、遅れてすみません。」
二人で話しているところに
「この店って裏口があるの?」
私は男に尋ねた。
「あるよ。」
男がわずかに
「さっき
男が正直に話した。
「ひどいよ、マスター。言ってしまうなんて。」
「なぜ警察を
私は当然の質問をした。
「それはうちのビジネスがダークウェブ上で行われているからね。警察とは関わりたくないんだよね。」
「でも
「じゃあ、まあ
「
「私の
私は
「
面白い話だとは思ったが、そうそうあんな本物の
「せっかくのお話ですが、
私はそう言って
「そうですか。そうですか。それは
「今日はゆっくりできないので、これで失礼します。何も
「ぜひ今度ゆっくりできる日にいらして下さい。」
男は
「じゃあ、
「よかったの?」
「うん。もう書けないから。」
そう言った私の顔を男はじっと見つめていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます