一+二章 【追憶】1

 エルハイム王国は千年の歴史を誇る大国である。

 いつもならば景観が四季の移り変わりとともに美しく変わっていくはずのエルハイム王国だったが、ただ荒んだ景観にになってしまっていた。

「はぁ……何だよあの化け物! あんなのが狙ってるとか聞いてねぇぞクソ野郎……」

 そんなエルハイム北部の広漠とした大地を、ギルドルグ・アルグファストという宝狩人トレジャーハンターは歩いていた。

 彼は王国の北側に広がる『霧厳山脈』で、恐ろしい強大な敵と邂逅していた。

 絶体絶命の状況から命からがら逃げだし、彼は『レブセレム』という街へとたどり着く。

「私の家。寄っていく?」

「おうおうテメェ俺のユウに何してやがんだ? 思いっきり殴ろうとしてたんじゃねぇのか? あん? どうなんだコラ」

 街でギルドルグは、『ユウ・ヨグレ』と『ゼルフィユ・アブゾ』に出会う。

 彼らと話しているうちに、この街は強大な魔法を秘めた魔法石の存在を預言した預言者がいる街であることに、ギルドルグは思い至った。

 二人とは旧知の仲であるらしい預言者からは、『永遠の秘宝』、ライオンハートについて話を聞く。

「私は預言してしまった。この国の滅びを」

 そして『預言者』メルカイズはエルハイムの滅亡を預言してしまったことを彼らに打ち明け、その運命を変えてほしいと提案する。

 ライオンハートの噂を聞き付けた同業者から襲撃されるも、ユウの能力と人狼の家系だったゼルフィユの力もあり、難なく撃退する。

 嫌々ながらも、話半分ながらもギルドルグはメルカイズの依頼を承諾し、ライオンハートを追い求めるためひとまず自らのギルドへと帰還する。

 帰還して翌日に、ギルドマスターのキョウスケから再度、霧厳山脈についてライオンハートの調査依頼があったと告げられる。

 あからさまなタイミングのよさに疑いを向けるも、キョウスケから二本の剣を受け取った彼らは、霧厳山脈への調査に挑む。

 霧厳山脈は国境警備軍によって入山は監視されているはずだが、平地にまで出てきた霧のおかげで問題なく霧厳山脈へと到達する。

 しかし彼らは、本来ならば霧が平地にまで来ることなどありえないということを、全く知らなかった。

 彼らにとってこの霧は幸運だったのか、それとも凶兆だったのか。

「俺様をコケにしやがってぇぇぇぇ! 許さねぇええええ!」

「見でろ゛」

「はい、あーん」

(あああああああ嬉しいのに嬉しくねえええええええ! なんだこれえええええええええ!)

 凡人にすぎないギルドルグを、数々の試練、命の危機が襲う。

 果たして、彼らの行く末は――?

 



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