二人の日常
すぅ、すぅ……。
真っ白な少女がハンモックの中で寝息を立てている。目元には乾いた涙の筋があり、夢見が悪いのか、時折体が震えている。
彼女の名前はアイル・イン。
過保護な家庭で育ち、幼くして家族と故郷を失い、劣悪な社会構造から性的に搾取され続けた過去を持つ。そんな女の子だ。
「れ、……や。……して。痛、の、よく、して……れいや、っ」
手を伸ばした時に、彼女は目を覚ました。
「ユメ、なの……」
彼女は自分の顔に両手を向けて、じっと見つめた。それからずっと自分の身を抱きしめた。そうだ。その両腕で抱きしめた。
背徳感のような、痺れるような寂しさに背筋がゾクゾクする。恋しくなれば恋しくなるほど、頭が真っ白になって何も考えられなくなる。
「そういえば今日は、レイヤくんと会える日だっけ」
「レイヤくん」は私の狂った寂しさが産んだただの都合のいい幻なのだろうか。
本当の彼は「レイヤ」であるはずなのに。
いつも彼のことをちゃんとまっすぐに向き合ってみていられる時は、「レイヤ」と呼び捨てにしてるではないか。
彼が、私以外の人にとっても実在しているのかどうかも含めて怪しいし、仮に実在していたとしても、私がきちんと彼自身に向き合えてるかどうか本当によく判らない。
だって、なら、ううん、どうだろう、などと考えてるうちに、彼がやってきたらしき気配がした。
「ぼふぁ「ば」「ぃ「よぉ」
ああ、壊れた画像データのようなよくわからない物体が、レイヤだった何かであり、また元のレイヤに戻ってくれる可能性のある何らかの存在が、夕闇の森という魔の森からやってくる。
頭おかしくなりそうだというか頭がおかしくなったからアイルも狂おう。
ほら、あれだよ。誰にだって体調に波はあるじゃないか。ほら、二人とも、長いこと会ってなかったからストレス溜まってんだよ。
あんまり変な目で見ないで「ああ、疲れてんだね」って見守ってあげようぜ。
さて今回はそろそろ締めくくりだ。
リラックスのために、みんな、二人と僕と一緒に少し狂おう。
せーの。
【!!!!ぶべらぼべ!!!!】
寂しがり少女の朗らかな日々 @seek-to-love
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