第2話 スペースシャトルと豚骨ラーメン②

「はー期末かあ」

 いつも明るい彼女には似合わない落胆の溜息を聞くに、彼女の成績は芳しくないようだ。

「あー! このままじゃ夏休み補修祭りになっちゃう!」

「頑張って」

「メータンテーは余裕?」

 余裕というわけではないがそこまで焦ってはいない。

「かーやっぱり本を読んでるからかー」

 やはり彼女の中では本を読んでいる人、それ即ち頭のいい人という図式だったのか。

「あたし漢字見ると眠くなっちゃうんだよね、教科書とかほんと無理」

「読書って単純作業だからね」

「へー、じゃあ定期的に爆発とかしたら眠くなんないかもね」

「一回目の爆発で永眠するよ」

「どうやって勉強すればいいの?」

「普通に勉強しなよ」

「うがーそれが難しいんだよー!」

 極限の嘆きとともに予冷のチャイムが鳴った、五分後に授業が始まる。

「授業かーさぼりたいなー」

「それこそテストで赤点取るわよ」



 授業が終わり、放課後になる。

 当然ながら私は部活に所属していないのでさっさと帰る。

「それでさー」「えーまじー」

廊下に出ると前からアマゾネ……ギャルの集団がやってきた、その先頭にいるのは麻木麗だった。

集団が近づいてくる、五メートル、三メートル。

廊下の左側を侵攻してい来る、私は廊下の右側にでた。そのまま麻木麗との集団とすれ違った。

全てのギャルとすれ違ったのと同時に、振り向く。楽しく談笑する麻木麗はそのまま教室に入っていった。



 彼女と会話するのはあの場所だけ、どちらかがそう決めたわけではなく、なんとなく。

 この暗黙のルールが彼女との関係を説明させるのを複雑にしている、気がする。

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スペースシャトルと豚骨ラーメン 未結式 @shikimiyu

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