第10話 体育祭1
ついにこの日が来てしまった。
クラス順に並んだ俺たちは、炎天下のもとに晒されている。
学校指定の体操服一色の集団は長ったらしい校長の話を立ちながら聞いている。
生徒たちは頭にそれぞれの色の鉢巻きを巻いている。
そう、体育祭である。
完全無欠の俺にはまったくの些事なのだが、どうやらこの世には運動が苦手で体育祭が憂鬱という人がいるらしい。
いや、まったく俺には関係ないのだが、そんな人たちのためにも、ぜひ、体育祭は中止すべきではないだろうか。
俺が運動できないとかそう言ったことではなくて、俺は弱きをくじき、強きを守る男だからだ。
……ん?逆か。
まあ、そんなことはさておき、俺の出る種目を確認する。
どれどれ……
なるほど、リレーか……
リレー!?
これは決して体験談ではないのだが、リレーで足手まといになり、クラスのみんなから蔑まれるということがあるという。
そんな悪弊、今すぐにでも中止してもらわねば!!!
だから俺はすぐに担任に抗議しに行く。
「担任よ!」
(ギロ——)
「いやぁ、そのぉ……おなかが痛いからリレーを休めないかなぁって……」
「ああん?」
「で、ですよねぇ?そんなことを友達が言っていたんですけど……ですよねぇ?」
「ちっ!わかったんならさっさと失せろ」
やはり俺は弱きをくじき、強きを守る男だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます