第10話 体育祭1

ついにこの日が来てしまった。

クラス順に並んだ俺たちは、炎天下のもとに晒されている。


学校指定の体操服一色の集団は長ったらしい校長の話を立ちながら聞いている。

生徒たちは頭にそれぞれの色の鉢巻きを巻いている。

そう、体育祭である。


完全無欠の俺にはまったくの些事なのだが、どうやらこの世には運動が苦手で体育祭が憂鬱という人がいるらしい。


いや、まったく俺には関係ないのだが、そんな人たちのためにも、ぜひ、体育祭は中止すべきではないだろうか。


俺が運動できないとかそう言ったことではなくて、俺は弱きをくじき、強きを守る男だからだ。

……ん?逆か。


まあ、そんなことはさておき、俺の出る種目を確認する。


どれどれ……

なるほど、リレーか……

リレー!?


これは決して体験談ではないのだが、リレーで足手まといになり、クラスのみんなから蔑まれるということがあるという。

そんな悪弊、今すぐにでも中止してもらわねば!!!

だから俺はすぐに担任に抗議しに行く。


「担任よ!」

(ギロ——)

「いやぁ、そのぉ……おなかが痛いからリレーを休めないかなぁって……」

「ああん?」

「で、ですよねぇ?そんなことを友達が言っていたんですけど……ですよねぇ?」

「ちっ!わかったんならさっさと失せろ」


やはり俺は弱きをくじき、強きを守る男だ。

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