第9話 ラーメン屋にて3

つまり、俺があれを食べると?

あんなん、こう言っちゃなんだが、人間の食べ物じゃないぞ?

それを俺が食べる?


俺はちらりと彼女の顔を伺う。

そこには期待と羨望が入り混じった眼で俺をまっすぐに見つめる彼女がいた。


まずい!失望されたら俺がヒーローってのが嘘だってばれちまう!

ここは何としても乗り越えなくては……


「ああ、まあ——」

「そういうことですね!?」

すると彼女は合点がいったかのような顔をした。


「つまり、辛さが足りないということですね!?安心してください!今ラー油の替えを持ってきます!」

そう言うと彼女は店員を呼び、ラー油の替えを要求した。


そして彼女は店員が持ってきたラー油の替えをなみなみと注ぐ。

……ええぇ、それはいくら何でもないでしょう……

しかし背に腹は代えられぬ、差し出されたそれを一口口に運んだ。


辛い辛い辛い辛い辛い!!!!!!!

痛い痛い痛い痛い痛い!!!!!!!

しかしあくまでも平静を装う。


「ん?まあ、こんなもんだろ」

「さすがです!」

彼女は拍手しながら褒めたたえてくれた。

やっぱり——


隕石ドゴーーーーーーーン!

地球パッカーーーーーーン!

……世界は滅亡した。

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