第7話 ラーメン屋にて

俺とセイキンデスはラーメン屋についた。

なんてことない、普通のチェーン店のラーメン屋だ。


彼女はと言うと、店内の隅々に至るまで目を光らせている。

多分、俺がパトロールだと言ったからだろう。


「あの丸刈りのおじさんとか怪しいです。さっきから店員に何か指示を出しています」

「ああ、あれはただ単にあのおじさんの隣の人にまだお冷出されてないよということを伝えているだけだな」

「……さすが田中太郎様、私なんかより優れた洞察力をお持ちです」


うむ、苦しゅうない苦しゅうない。

……じゃない!

俺は彼女のためにラーメンをおごってやるんだった。


「観察はその程度にしておいて、ラーメンでも頼んだらどうだ」

「しかし!敵にそんな油断を見せてしまっては——」

「お前は俺を誰だと思っている?」


すると彼女ははっとした表情になった。

「申し訳ありません、あなた様であれば敵の監視など足の指でボカロのベースを弾きながらでもできますね」

「あ、ああ、そうだな」

なんともわかりづらい例が出たが、とりあえず肯定しておけば間違いはないだろう。


「とりあえず、私はバクダン炒め定食を頼もうと思います」

「そうか、じゃあ俺は唐揚げ定食でも頼もうか」

後ろにあるボタンを押して店員を呼び、注文をする。


「あの店員、何やらスマホを操作していました。ハッ!もしかしたら敵の援軍が——」

「いや、ただ単に注文を厨房に送信していただけだから」

「……見事な慧眼、御見それしました」


これはただ単に彼女の思い違いのような気がするが……褒められるなら悪くはない!


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