ラウンドロール (短文詩作)

春嵐

ラウンドロール

 なんとなく、回る。街。駅前。ぐるぐると回る。仕事仲間に、その都度出会う。

 何もなかった。街は平和で。わたしの中には、何もない。

 大事なことを、忘れているような気がする。気がするだけで、たぶん、そんなことはひとつもない。わたしには何もない。大事なことなんて、わたしの中には、存在しない。

 彼に逢いたい。そう思うだけで、彼が誰なのか、ここにいるのかすら、分からない。曖昧な記憶と、夢。ここも、夢の中なのかもしれない。それなら、それでもよかった。なんでもいい。

 街の灯りと、ネオンと、私がいる。ただ、街に立っている。

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ラウンドロール (短文詩作) 春嵐 @aiot3110

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