第5話 晴人、告白
千重は学校ではあまり他の生徒と関わりがなかった。お金持ちのお嬢様だから? それは違う。理由は単純に空気から浮いてしまうから。千重は学校で友だちは居なかった。
黒塗りの高級車で社交の会場に向かう千重。千重は考えていた。自分は果たして普通なのだろうかと。自分にはいったい何があるのだろうかと。そんな不安のひとつひとつをアプリのマイケルが消してくれた、そんな気分の千重だった。
さて、社交の会場、千重は今日はひとりである。見知らぬマイケルのことをぼんやりと思っている。そこへ、晴人が。
「千重さん、ちょっとよろしいでしょうか?」
「はい、なんですの?」
「千重さん、付き合ってください」
晴人のいきなりの告白だった。千重は急にドキドキが止まらなかった。千重にとって恋というものは、アプリのマイケルという見知らぬ人からのものだけだと思っていたからだ。千重は照れ笑いをひとつ。
「晴人さん? 私でよろしくて?」
「ええ。千重さん」
社交の会場は、いつも通り。ただ、ひとつ変わったと言えば、千重は見知らぬマイケルと、晴人を同時に好きになるということだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます