第3話 晴人、気付く

 今日も社交の会場に千重は出席している。今日の千重の様子はちょっと違った。自然な笑顔、楽しそうな表情、そしてひとりの時には鼻歌を。千重はアプリのマイケルのことを考えているからだ。千重はちょっとずつ日常が楽しいと感じる。


 一方で、晴人がいつもと違う様子の千重に気付いたようだ。こういうことには、社交というものは敏感でなければならない。晴人はちょっと考えているようだ。


 千重は鼻歌をしながら自分で皿に料理を装っている。晴人は紳士みたいな感じの行動が出来ない。千重が自ら行動をするために。その間にも晴人は千重のルンルンとした感じの理由の原因を考えているかのように。


「千重さん? 何かあるのですか?」


「え? どうしてですか? 晴人さん?」


 ここで、晴人は質問を止める。晴人は千重のルンルンとした感じをあまり深くは知りたくもないかのように。


「今日の晴人さんは、なんだかおかしいですこと☆」


 いや、おかしい様子なのは千重の方であろう。

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