第2話 はじめまして

 千重は自分の部屋の広いベッドでくつろいでいる。あとは眠りにつくだけ。でも、携帯電話のアプリを時々見ている千重。見知らぬマイケルからの言葉を待っている。見知らぬ人に何かを期待するのはどういうわけだろうか。千重は、可愛らしいクマのぬいぐるみを抱きしめている。


 ピコン。アプリからの通知。千重は鼻歌を。見知らぬ人からの通知なんて知らないわ、とでも言わないばかりに余裕の表情である千重。五分が経ってから千重はアプリを開いた。マイケルからの発信だ。


『はじめまして』


 その言葉を見て、千重は違和感に思う。確か初めにマイケルからは『愛している』と返信があった。千重はその言葉は普通は順番が逆ではないかと不審に考えている。見知らぬ人からの言葉。理解が出来ない。けれども、千重は退屈な日常を変えてくれるかもしれないと思ってこう返信する。


『はじめまして』


 千重は鼻歌をまた。そろそろ寝ないといけない。千重は、なぜかわくわくしている。また明日のお楽しみとでも言いたそうな笑みを浮かべる千重。


 なんて楽しいの。マイケルという見知らぬ相手の言葉が千重にとってはお楽しみなのだ。父と母には教えていない秘密の言葉。千重は退屈な日常の何かが変わることを期待している。


 千重は横になる。クマのぬいぐるみを抱きしめている。明日も忙しい日常。千重はドキドキと、見知らぬマイケルに対するそわそわのような心配があった。

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