わたしの秘密 

 なぜ、私がばあちゃんが数日出かけるからと言って、おばさんの家に来なければならないのか。

 

 理由はわかっている。



 おばさんの家に行ってみると、遠野楓さんがいた。前に、何度か顔を見たことはあったけれど、面と向かって会うのは初めてだろう。

『あー緊張する・・・まあ、いつも通り騙せばいい。』


 丁寧にお辞儀をして、いらないことは喋らず、集中して勉強をしておく。

『えっ、全然この人喋ってこない。いい人じゃん。めっちゃ集中できるし気持ちがいいんだけど。』


『この人、コミュ障なんだな・・・喋るの苦手そう。』


 私は、思った。

 楓さんは、とても優しい。

 でも、絶対心が傷ついてる。

 このまま、騙し続けても、絶対嘘だってバレるし。

 本当のこと話してみよっかな。



「勉強好きなの?」


 言おう


 本当のことを言ってみよう。

 なんか、分かってくれる気がする。




 僕は、夏川さんについて、もっと知りたいと思った。

 自分を守っていた秘密の一部を、なぜか僕に話してくれたんだから。


 次にばあちゃんの家に行くのは、夏休みだ。


 そう思っていた。



 一ヶ月半後

 じいちゃんが亡くなった。








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