第294話 友人
邪魔ではないが
「あのな紋ちゃん。苺のことじゃけど、喜びんさい、結論から言うと今の苺からは
「本当か? それならひと安心だ。理由はなんであれ、
「うん、まあ、そうなんじゃけど・・・・ワシは、なんか忘れとる気がするんじゃ。紋ちゃん、ワシが何を忘れとるか分かるか?」
「あのな~俺に分かる訳がないだろう。それよりも、いくつか確認したい事がある。なあ龍神、ここに苺を連れて来て、苺自身に
「う~ん、それな。それも少しは考えたんじゃ。じゃけど。苺の中におる
「う~それはイヤだな。仮にだぜ、俺の目の前で苺が破裂したら血が飛び散る訳だ。そうすると二度とイチゴジュースを飲めなくなるぜ」
「あのな~そうじゃのうて、仮に苺が破裂すると、その辺に
「・・・なあ龍神、俺が言うのもアレだけど、この手の話はやめようか。いくらなんでも
「そうじゃな、ちょっと悪ノリをしてしもうた。こげな会話を桃代さんに聞かれたら、今日から飯抜きになるからのう」
「だから、食う話を続けるなって。それとな、あともうひとつ聞きたい事がある。苺をおまえの
「あ~それな・・・実は、紋ちゃんに内緒で苺に聞いた事があるんじゃ。そしたら、【わたくしの
「
「まあ、ワシは苺の意思を尊重するつもりじゃ。じゃけど、覚悟を決めとる。そんな感じでは無かったのう。そこは不思議じゃ、なんでじゃろう? 紋ちゃんなら分かるか?」
「
「なんじゃい、その言い方は! ワシは龍神様じゃけぇ、ワシをバカにするとバチが当たるでぇ」
「ほ~~俺にバチを当てるつもりか。じゃあ、やってみろ。それで俺が怪我をすると桃代が怒るぜ。桃代が怒ると、あまちゃんを呼ぶかも知れないぜ。そうなれば、俺もおまえも
「あっと、そりゃいけん。ホンマにそうなりそうじゃけん、お互い嫌がらせはせん、ちゅう事で仲直りをしようか。ほんで、そろそろ帰らんと、何か勘繰られるかも知れん。もう帰った方がええ」
「そうだな、おまえと不毛な言い争いをしても良い事は無いから、そろそろ帰るか。俺は苺の様子を聞きたかっただけだからな、龍神のおかげで安心したぜ。ありがとうな」
「ほんじゃあ、帰るか。それはそうと、カワウソは
「おまえなぁ、いま仲直りをしたばかりなのに、また俺と不毛な言い争いをするつもりか?」
「だって、ワシが潜ると寒いじゃろう。ワシが風邪を引いたら、紋ちゃんが看病してくれるんか?」
「おまえ、本当にぶっ飛ばすぞッ。ここで毎日ブラシを掛けて水洗いをしてやってるのに、風邪なんか引いてないだろう!」
「ごめんって、そがいに怒らんとってよ。それじゃあ、帰る前にブラシを掛けてくれるか」
「掛けてくれるか? 俺の腕はパンパンになるのに? お願いしますの間違いではないのか?」
「もう、
「キモい! 放課後、一緒に帰る約束をした、付き合い始めたばかりの田舎の中学生か!」
「なんか、その
「いいから、さっさとカワウソを連れてこい。そもそもおまえが面倒を見るって約束で連れて来たくせに、俺に面倒を見させようとするな」
「そうじゃったっけ? そうは言うても、あのカワウソはワシより紋ちゃんの方に懐いとる。ええのう、紋ちゃんは人気者で」
「おい、龍神、本当にそう思うか? 人間の友人が一人も居ない俺が人気者だと思うのか?」
「え~っと、それは自己責任ちゅうことで・・・というか、ワシという世にも珍しい友人がおるのに、何が不満なんじゃ」
「だからな、人間って限定しただろう。いいから、早くカワウソを連れてこい!」
別に人間の友人が欲しい訳ではない。幼い頃から
だが、友人は居なくても味方は居る。
人間では無いヤツもいろいろ居るが、俺にはそっちの方が大切だった。
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