第263話 頼れるヤツ
普段は、危険が伴う曰く付き場所に、俺を近付けないようにする桃代なのに、今回は俺を呼んだ。
あいつ自身、思う何かがあるのだろう。
ユリの島での騒動は、
今回も桃代の興味が加速する、その手の何かがある
俺がネットで調べた事柄は、桃代の変なテンションを肯定できる内容だった。
もしも、俺の推測通りなら、桃代が暴走しないように注意しないと、アイツの暴走は
桃代が興味を示し、キーコも言っていた悪意のある嫌な感じのモノ、それはミイラではないかと思う。
俺の推測は、即身仏になる為に
もちろん、
即身仏になる事は明治になると禁止され、禁止をされる前に
祀られる事を希望して
そんな仮説を立てて、ネットで即身仏を調べてみたが、そもそも即身仏になろうとする高尚な人が、祟りを起こす
そういう訳で、俺の推測は振り出しに戻り、堂々巡りをしていた。
そうすると、桃代の変なテンションは何が切っ掛けだ? ミイラでなければ埋蔵金か?
桃代を問い
その日の夜に寝室で二人だけになると、桃代の不可解な行動について俺は聞いてみた。
「なあ、ももちゃん。普段のあなたなら【変な場所には近付くな】って、しつこく俺に言うくせに、どうして今回はあそこに俺を呼んだんだ? スマホを届けるにしても、ちょっと理由が弱いよな」
「へっ? 突然どうしたの? でもまぁアレよ、わたしの凛々しい仕事姿を見せたら、紋ちゃんは
「えっ! それだけ? じゃあ、今回の祟りについて、桃代さんは何かに気が付いてる訳ではないの?」
「祟り? 当たり前でしょう。わたしだって初めて行った場所なのに、何に気付けるの?」
「だって、あなたのテンションが変だったから、オイラはミイラが絡んでると思ったんですぜ」
「だからね、わたしの凛々しい姿を見た紋ちゃんは、今以上にわたしを好きになるでしょう。そうしたら、エジプトに行って盗掘が出来るじゃない」
「ちょいちょいちょい、おかしい、おかしいだろう。なんで今以上桃代を好きになると、エジプトで盗掘をする事になるんだ?」
「もうッ、そこから? わたしが大好きな紋ちゃんは、わたしから離れられない。そうしたら、わたしがエジプトに行って盗掘団を立ち上げれば、その一味になってくれるでしょう」
「あのな、エジプトに行くのは構わない。だけど、なんで盗掘団なんだ? 国際問題になりますぜ」
「いいじゃない。未盗掘の王墓を発見してあばくのが、わたしの夢なんだから。紋ちゃんも協力してよ」
「はいはい、もうそれはいいから。まずは目の前の問題をなんとかしようぜ。龍神が祟りなんて言ってたけど、祟りなんて本当にあるのかな?」
「あ~あ、つまんない。ファラオの呪いだったら興味があるのに・・・でも待てよ、祟りかぁ・・・わたしの王墓をあばく奴らに祟ればいいんだ。祟りの仕組みを解明するチャンス」
「桃代さん、お願いですからマッドな研究をしないでね。それから、あなたに対する俺の気持はマックスなんだから、これ以上好きになったりしないぜ」
「ちぇ、残念。でも、まぁいいか。盗掘団なんてケチな事は言わないで、エジプト政府から正式な発掘権を購入して、堂々と盗掘をすればいいわ」
発掘権を購入すれば、盗掘をする必要はないだろう。
なんで盗掘に
桃代の変なテンションは、すでに暴走していた
今のところ、あの場所の曰くについて分かった事は、キーコの感じた悪意のある嫌なモノだけだ。
桃代が高揚していた件は、ヤツの暴走だし、俺の推測は頭の中で
桃代に頼ならければ俺は何も出来ないバカなので、桃代には早く正常に戻ってもらわないと、面倒な事になる。
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