第242話 間違い
俺は後ろを振り向かない。いや、振り向けない。
振り向いて、もしも、あまちゃんが後ろに居れば、俺は首を
下を向き、ボタボタと汗を垂らしている俺に、桃代の笑い声が聞こえてきた。
「あはは~っ、どうだった紋ちゃん。てんちゃんの言い方に似てたでしょう。桜子にモノマネの極意を教えてもらったの」
「へっ? モノマネ?・・・・ももよさん、それはダメでしょう。あなたはオイラをイジメて楽しいですか?」
「だって、紋ちゃんが偏屈ババアなんて失礼な事を言うから。どう考えても言ってはいけない言葉でしょう」
「うっ、確かに、その通りだな。今度会ったら謝っておく。ここに居るとまた失言しそうだから、俺は龍神の手伝いをする」
「じゃあ、確認も済んだし、
「はい、それはいいのですが・・・お願いだ紋次郎、キサマも一緒に来てくれ。わしはこの桃代さんが怖い」
「あ~もうッ、面倒くさいな
「お任せください。さぁ、龍神さん続けますよ。ヘビの底力を見せてあげましょう」
「うん、まあ、ええけど。紋ちゃんは早う戻って来てな。あんたがおらんと、ワシの胸はポッカリと穴が開いたみたいなんじゃ」
「キモいッ! 苺が疑惑の目で俺を見るから、その言い回しはやめろ! ほら行くぞ
「あのな紋次郎。お願いだから、
「いいか
俺はムカムカしながら、桃代はタメ息を吐きながら
人目に付かない場所に隠された
数カ所をまわり、全ての回収が終わると高台を目指す。
う~~っ、意外と疲れた。もう、そろそろ陽が昇る時間だ。
高台に戻ると、龍神と苺の作業も完了していた。
二人ともしっかりと仕事をしたようで、少しひらけた場所に、
もちろん、
俺と桃代は、
「紋次郎、それから桃代さん。人間の中にもあなた達のように
「まだ終わってないぜ
「うっ、紋次郎、そんなに重圧をかけるなよ。緊張でわしの心臓が止まってしまうぞ。って、もう止まってるか」
「いいぞ
「紋次郎・・・最初に出会った時に悪態をつき、すまなんだな。キサマとはもっと早く知り合いたかったぞ」
「いいから、しんみりするなって言ってんだろう! やっぱりおまえはバカだなッ」
「ふふ、そうだな、わしはバカだな。今後もキサマと同じバカを目指す。龍神殿に苺殿、お二人にも世話になりました。ありがとうございます」
「よし、行こうか。龍神は
「イチモツ? 紋次郎さん、それは許される言い間違いだと思ってますか? まして女性のわたしに対して、はっきり言って最低です」
「怒ってやるな苺。紋ちゃんは昨日も今日も寝てないんじゃ。寝不足なんじゃ。おそらく、鬼のシンボルと男のシンボルがごっちゃになったんじゃ。バカじゃけぇ!」
「ああっ、そういう事ですか、納得しました。納得した上で最低ですわ。紋次郎さん、次に同じような間違いをすると、ヘビの姿で巻き付きますよ」
「うっ、やっぱりわしは、紋次郎のようなバカにはなりたくない。
「あなた達は失礼ね。紋ちゃんが呼ばれ易いように、誘導したのはわたし達でしょう。それなのに、ちょっとした言い間違いを責めないでよ」
「うっ、そうでした。紋次郎さんが無意識に行動するように、疲れさせ寝不足にして何も考えられなくしたのは、わたくし達でした。ごめんなさいね紋次郎さん」
「え~っと、何それ? 桃代さん、あなたがまた手を回したの? テントの中で一人だったのは、そういう事なの? 悪いな
「いいのよ、キーコの為でしょう。さぁ、陽が昇る前に行動しないと、空を飛ぶ
龍神は慎重に
俺たちもそれに続き、高台を降りてテントの前に到着すると、龍神は静かに
すると、呼びに行く前に、テントの中から驚いた顔をしてキーコが出て来た。
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