第243話 青兵衛とキーコ
フラフラと近づき、泥だらけの
桜子や
その姿を見ている俺は、ユリや椿さんに対しては我慢する、バルボッサ! おまえは気色が悪い!
それから、なんかモジモジしてる
しばらくして陽が昇り、やわらかい陽ざしが差し込むと、キーコは泣き止み、泥と涙でぐちゃぐちゃな顔を上げ、俺を見つけて抱き付いてきた。
「モンちゃんありがとう。あの
「キーコよかったな。ほら、顔を拭いて。でもな、抱き付くのは俺じゃない。お礼を言うのも俺にじゃない。コイツに抱き付いてお礼を言え、キーコの親父の
「うそ!父ちゃんまで見つけてくれた・・・もうダメ、こんなに良くしてもらって、あたしが死ぬまでに恩を返せない」
「いいかキーコ、恩なんて感じる必要はない。恩を返すなんて二度と言うな。バカな人間の
「・・・なあ、紋次郎、そのバカな人間はキサマの事か?
「おい
「だって、紋次郎だけ
「ほらキーコ、
「もうっ! 父ちゃんはダメでしょう。紋次郎君のおかげで・・・あたしも・・父ちゃんも・また会えた・・・父ちゃん会いたかったよ~~」
キーコは感激のあまり言葉に詰まり、またも大粒の涙を流しながら、
だが、やはりというか、当然というか、キーコは
「あ~あ、やっぱりこうなった。
「うっ、そうだった。忘れてた。お願い紋ちゃんッ、なんとかして」
「
「お任せください紋次郎さん。キーコさんに迷惑を掛けた、わたくしがなんとかします。
「このハンカチに包んでいるのは父ちゃんのツノなの? でも、イチモツって、なんですか苺さん」
「おいッ苺! テメエは俺を散々非難したくせに、キーコの前でそれは許される言い間違いなのかッ」
「ぐッ、淑女のわたくしがトンデモないミスを・・・ごめんなさいキーコさん、今の言葉は忘れてください。もうッ、紋次郎さんのバカが移った
「ねぇ苺、あなたにはまだ邪気が残っているの? ちょっとあり得ないよね、キーコを前にしての、その言い間違いは」
「ぐッ、桃代さんにまで・・・龍神さん、わたくしはもうダメかもしれません」
「何を言うとるんじゃ。初めて会った時から、苺はダメだったじゃろう。それより早うなんとかせんかい。このバカたれが」
俺の
苺は目に涙を溜めながら、ツノを
すると
それを見届けると、苺は後ろを向き、キーコとは別の意味の涙を流している。
しかし、キーコの痩せた身体を考慮して我慢していた。
偉いぞ
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