第99話 腐臭
今現在、頂上の広場には誰も居ない。
あまちゃんが居れば、厄介だと思っていたが誰も居なくてホッとした。
約束の時間まであと一時間。
日差しは強いが風があるおかげで、炎天下の中でも待ち続けることが出来る。
待つあいだ、龍神の
ヤツととぼけた会話をすると、俺の緊張感が霧散する。
俺の作戦が、
もしかすると、桃香の傷をエグり、
そうなれば、防腐処理をされた
などと、相も変わらず思考がバカな方向に
風が木々を
誰かが山の中から歩いてくる。
小枝が踏み折れる音や、草をかき分ける音など、そんな音が近付いてくる。
もちろん、御神体の桃香が歩く音なのだろう。
まだ時間前なのに律儀なヤツだ。
音の聞える方に顔を向けると、風の
熊でなくて良かった。
しかし、妙だ。
桃香の足取りがおぼつかない。
今にも倒れそうな足取りで、ふらふらしているように見える。
俺は迎えに行く為に歩き出し、手を挙げて名前を呼ぶと桃香は俺に気付いてくれた。
そして、薄い
俺はリュックを投げ捨てると駆け足で桃香の元へ行き、両手で桃香を
桃香を
「すまぬ紋次郎、
「アレって、ハブの助の事か? アイツは実体がまだ残ってたんだな」
「アレは
「よし、取りあえずこの場からずらかろう。桃香、一度立てるか? おまえをおんぶして一緒に逃げる」
「バカモノ!
「うん、俺はバカだ。でも、俺だけ逃げるんだったら千年前も逃げてたぜ・・・いいか、俺は紋次郎。桃香を見捨てて逃げたりしない」
「ダメじゃ、
「いいから、黙って俺にしがみ付いてろ。何せここに来てから足腰だけは鍛えられたからな、桃香を背負ってもビクともしないぜ」
まずはリュックを拾って腕に掛けると、俺は桃香を背負いまわりを見渡す。
桃香の言う、おぞましい
う~ん、マズい。これはもう一気に行くしかない。
猪になる一歩手前の俺が、落ち着くよう自分に言い聞かせていると、桃香が倒れた奥の方からハブの助らしき
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