第9話 自己紹介
「一体誰何者なんだろうな..?」
「恩人です。それ以外にいらないと思います」
「そうだな。それよりも白い娘ってお前..名前を言ってないのか?」
「..忘れてました」
「お前な..もういいから準備を手伝いにいけ。俺もそろそろ限界だ..」
「グレイルさん?」
それきり返事がなくなる。どうやら気を失ったようだ。
「必ず助けます。諦めませんから..」
取り敢えず運び方を決めよう。
彼女と二人で色々な案を出し合った結果、最終的にこうなった。
まず白い娘に気絶してる女の人を背負ってもらう。
その状態の彼女を僕が背負う。
男性陣は連れてきた時と同じように左右の肩に担ぐ。
これだと僕が上手く彼女達を背負えないので僕と白い娘を僕のローブできつく縛る。
よし、これでいくぞ。
「あの..これ、本当に大丈夫ですか?あなたが潰れませんか?」
「大丈夫だよ。力には自信がある」
そう言って大き目な木を一本、片手で持ち上げる。
白い娘が目を見開いて驚く。
「ゴブリンを倒した時は木を魔法で飛ばしたんですよね?」
「いや、投げつけた」
彼女が困惑する。
「身体強化の魔法が得意なんですね..」
「身体強化..?そういうのもあるのか」
「えっ、使ってますよね?」
「どうなんだろ?少なくとも魔法ってのは君から始めて聞いたよ」
黒い人が剣と魔法の世界っていってたな。
無意識で使ってるのかな?
それとも素の身体能力がイかれてるのか?
「何かおかしいかな?」
「い、いえ!そんなことありません!大丈夫です。私は受け入れますから!」
良かった。人間扱いされないかと思っちゃったよ。
彼女から森から出る方向と危険な生物の情報を聞き、出発の準備を整える。
「まだ色々聞きたいけどみんなを救ってからにしよう。君は..」
「ヨルアです」
「えっ?」
「私の名前です。ヨルア・フロイライトといいます。」
「この名前には白という意味があるみたいで色々白く育ちました」
きっと髪や服のことを言ってるんだろう。
「そしてさっき喋ってた方が私達のリーダーのグレイルさん、緑のローブの方がキースさん、女性の方がレリアナさんです」
そういえばずっと名前も聞いてなかったな。
「改めてお願いします。私達を助けて下さい」
「うん、任せて。みんな助けるよ」
「それと..」
「うん、何?」
「あなたの名前も教えて貰えませんか?このままだとお礼もちゃんと言えないので」
名前か..
そうだな前世の名前は..
「どうかしましたか?」
「いや何でもないよ。名前、名前ね..」
もういいや。今の恰好にもあってるし。
名は体を表す。
それでもいいじゃないか。
「僕の名前は
「黒に因んだ名前ですか..」
そう言うと僕の恰好を見て微かに微笑んで、
「それじゃ私達似たもの同士ですね」
「ああ、そうだね」
さぁもうお喋りはお仕舞いだ。
目指すのはバーレンという都市、そこにいる神官様とやらだ。
「しっかり掴まって、ヨルア!とばすからね!」
「はい!クロガネ、お願いします!」
そうして僕は駆け出した。
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