第7話 どうしよう

ゴブリンの拠点を襲撃して捕らわれていた人たちを助け出した。


捕まっていたのは男女二人ずつの合計四人で二人にはそもそも意識がなく、意識があった内の屈強な体つきの男性は助けられたことに安堵したのか拘束を外したら気を失った。




残る一人は白い髪をした女の子なのだが..




「わぁーん!ありがどうごじゃいまずー!」




さっきからずっとお礼を言いながら泣いている。




気持ちは分かったから話しをさせてほしい。


あまり時間を掛けてはゴブリンたちがまた戻って来るかもしれない。




しょうがない。


泣き喚いてる彼女の口を手で塞いで黙らせる。


驚いたような顔をされるが僕は悪くない。


話しをさせない方が悪い。




「分かったから静かにして。ここはまだ危ないから移動するよ。分かったら右手を挙げて」




彼女は泣き出しそうに..というかもう泣きながらだが右手を挙げた。




「君は歩ける?歩けるならまた右手を挙げて」




これにも右手を挙げる。






どうやら僕の言葉は分かっているようだ。


日本語をしゃべってるつもりなんだけど。




黒い人はこの肉体は言語も問題なく使えると言ってたしそのおかげか。






まあそんなことはどうでもいい。


さっさと移動するとしよう。男二人を左右の手で持ち上げて肩に担ぐ。予想通りだが男性二人なのに全く重くはなかった。




「もう一人は君がおぶってくれる?」




「わ、分かりました!」




最後の一人は彼女に運んで貰う。両手がふさがって上手く背負えないし。


そんなこんなで僕の拠点がある。小川に向けて歩き出した。






道中、なにも起こらず問題なく小川に到着した。


ついさっき出ていったのにもう懐かしさすら感じる。


このまま何も考えずに休んでしまいたい誘惑にかられるがそうもいかない。




三人の意識が戻らない。このままにはしておけない。




「お願いします!大事な仲間なんです。私に出来ることなら何でもしますから..だから助けて下さい!」




「もちろんやれるだけやるよ。じゃなきゃそもそも助けた意味がない」




彼らを下ろして横にすると一人ずつ外傷を見ていく。


最初から意識のなかった二人は頭から血を流している。目覚める気配はない。




助けられた時、意識があった男性は痛みに呻いている。身体を確認すると火傷の跡がいくつかあった。




あの時の悲鳴はこの人か。




この人が悲鳴を上げるのが遅かったら僕は助けずに立ち去っていただろう。


そう思うと何が起こるか分からないものだ。




おっと、いけない。そんなこと今考えることじゃない。それよりももっと重大なことがある。




この白い娘に聞いておかなければ。




「ちょっといい?」




「はっ、はい!何でしょうか?」




「何か傷を回復させる方法って知ってる?」




「回復魔法やポーションがありますが..」




「使える?」




「簡単な回復魔法なら使えますが、私程度じゃこの傷の治癒は無理です..ポーションはゴブリンに割られてしまいました」




「そっかぁ..」




どうしよう?


僕には傷を治す手段がない。










このままだと死んでしまう。


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