第3話 初戦闘
ドラゴンに落とされてから数日後・・
木から落とされはしたが大した怪我もしなかったのであの後、再度登って水辺がないか探しまくった。
その結果、川を発見した。魚のような生物も泳いでいて、試しに焼いてみたが食べられた。
「うん、だいぶそれっぽくできたんじゃないか」
そんなわけで今はここで拠点づくりをしている。
その中で気づいたが肉体労働にこの身体は驚くほど便利だ。
軽く木をなぎ倒せるし、素手で木の皮も剥げる。火起こしはドリルみたいな音を出してやったら見よう見まねでもできた。
なによりも全然疲れない。体力が無限なんじゃないかと思う。
力加減も材料を集める過程でだいぶ分かってきてる。
これは森からでる日も近いのでは?
「ん?」
できあがった拠点を満足げに眺めていると背後からガサガサという音が聞こえた。
急いで振り返るとそこには緑色の肌に黄色く濁った眼光、手には血がついた棍棒を握り、身体には返り血らしきものを付けた生物がいた。
「ゴブリン?」
そんな言葉が口からでてしまう。それくらいに僕の想像するゴブリンという生物だった。
そいつは手に持った棍棒を構えると威嚇するような唸り声を上げてこちらを睨み、ジリジリと迫る。
その迫力に後退りするとスキを逃さず一気に距離を詰めてきた。
(ヤ、ヤバい!)
そう思った僕は咄嗟に右に転がる。一瞬遅れて棍棒が僕の立っていた場所に叩きつけられる。
(あぶねぇ!)
なんとか回避できたが体勢を崩して転んでしまった。対してゴブリンは既に僕の頭に向けて棍棒を振り下ろししていた。
避けらない一撃が頭に直撃する。
その瞬間、砕けたのは棍棒の方だった。あり得ない現実にゴブリンの動きが固まる。
そのスキを逃すほどお人好しではない。
拳を握ると目の前にあったゴブリンの足を思い切りぶん殴る。
炸裂音と共にゴブリンの足が吹き飛んだ。
「ギ、アアアアァー!」
痛みに絶叫しながらゴブリンが倒れる。
もう戦闘不能だろう。
僕は立ち上がると這いつくばって逃げようとするゴブリンを見下ろす。
殺すべきか?
放っておいてもこの出血では助からないように思える。
先に手を出したのはこいつの方だ。ほったらかしても何か言われる筋合いはない。
だが、最後の瞬間まで苦しめるのが僕の望みなのか?
いいじゃないか。理由なんて。
殺すのも救うのも奪うのも僕の自分勝手で。
黒い人が言ってた。
何をなすのも自由だと。
僕は自由だ。
「決めた」
僕はゴブリンに近づく。
「お前を救う気はない」
ゴブリンが僕を見上げる。その顔は敵意と恐怖に満ちていた。
「ただ苦しめる気もない」
足を上げ、ゴブリンの頭に狙いをつける。
「じゃあね」
そうして思い切り頭を踏みつけた。
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