1章
第2話 森の中で
光が徐々に弱くなっていく。
目が明けられるようになるとあたりは先ほどまでいた宇宙空間のような場所ではなく木々が生い茂った森の中だった。
確かにあの黒い人は森の中と言ってたがちょっとこれは森の中過ぎる。
これじゃ右も左もわからない。
「自由もなにも遭難してないか?」
せめて地理くらい聞いておけばよかったなぁと思ったがもう遅い。一応、場所だけは大樹海と聞いてるが。
とりあえず自分の格好を確認してみる。
着ている服は黒いズボンに黒いシャツ、黒いローブといった格好だ。
全身真っ黒である。
..異世界のファッションに詳しいわけじゃないがこれはどうなんだろう?
少なくとも地球なら不審者扱いだ。
まぁ裸一貫で放り出されなかっただけマシだと思おう。そう思おう。
そういえば身体が強くなってるんだったか?
動き回る前にそっちも試してみようか。
幸い地面には石ころが転がっている。手頃なサイズの石を何個か見つけると握ってみる。
すると簡単に握り潰してしまった。
「えぇ..」
今度は石を木の幹に投げてみる。放たれた石は幹を突き破り木をへし折った。
「おぉ..」
誰かと会う前でよかった。握手なんてしようものなら手を握り潰していたかも知れない。
「力加減できるまで誰とも会わないようにしようかな..」
となるとしばらくはこの森で過ごさないといけないがどこへ行くべきだろう?
少し考えた後、まずは周りの木に登ってみることにした。高い所からなら地形もわかるだろう。
できるだけまっすぐ伸びている木を見つけると幹を掴む。軽く力を入れただけで指の力だけで身体を支えられる。そのままグングンと登り、天辺にたどり着く。
そこで目にしたのは先まで広がっている森とその先にある山だった。結構な高さがある。頂上付近は雲にかかっていてよく見えない。
山から反対側を確認するとこちらは森の先は平原になっている。遠くには道のようなものも見える。
「とりあえず地形は大体わかったな。あとは水辺があればいいんだけど。ん?」
山から何か来る。
鳥のようにも思えたが、山からの距離を考えると相当な大きさだ。とんでもない速度で森に迫ってくるとその姿が確認できる。
それは赤いドラゴンだった。
一瞬で森に飛来すると平原の方へ飛び去って行った。
「うわああー!」
そして僕はドラゴンの風圧のせいで木から落下した。
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