第18話 『ゴーレムと魔王』



「アベル!!」




 私を庇ったせいでアベルがゴーレムに踏み潰されてしまった。




 アベル。彼は良いやつだったよ。

 魔王になりたいと言っていたが、純粋すぎて修行と偽った家事をやらさせるし、最後には私を庇って……。




 だが、これで解放された!!

 後はアベルから貰った金がある。これを使って勇者夫婦の手の届かない遠くまで逃げてしまえばば良い。




 私はゴーレムを無視してさっさと帰ろうと立ち上がるが、なんだか視界がぼやけている。




 私が目を擦るとなんだか冷たい。そして水滴のようなものがある。




「……これは」




 その時、ゴーレムの身体が宙に浮く。




「すみません! 師匠!! 怪我はありませんか!!」




 それはゴーレムに踏み潰されていたアベル。アベルは踏み潰されても耐え、逆にゴーレムを投げ飛ばしたのだ。




「アベル!! …………いや、そうよね。あなたは魔王になりたいんだもの……」




 私は立ち上がりアベルに大声で言う。




「この程度でやられたら魔王になる資格なんてないよ。さっさと倒しなさい!!」




「はい!!」




 アベルは背中に背負った剣を取り出す。それは最初の頃の冒険者のような装備ではない。まるで魔王のような、いや、魔王の装備。




「いきます!!」





【後書き】



 涙?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る