第76話 ジャンヌ・マキナ

驚きの連発、それはジャンヌだけではない

ここにいる誰もが想像できない光景を目の当たりにし、狼狽える

そんな光景を見慣れているグスタフは溜息を漏らすと、収納スキルでとある果実を取り出し、彼女に与える


『選ばれし者から貰った果実だ』


ジャンヌはもう驚くのを諦めた

この世界にはない果実、それは柿という果物である

彼が持っているという事は正真正銘、他の選ばれし者と交流があったことを示す

しかしどうやって手にしたのか。それが疑問だった


『ギフトに創造を持つ若い少年が柿が大好きでな。まだこの世界に実っておらん果物だが…』

『その…あの』

『あぁそうだった。妖精も俺と同じ意見だったがお前を咎めるつもりはないが決して忘れるな。この一件はとても重い事件だ』

『…ごめんなさい、本当にごめんなさい』

『口に出す勇気、力には責任が問われる…力があればあるほどに認める勇気は重い。それはきっと怖いだろうがお前だけじゃない。俺も若い頃は間違った判断で数千の兵を殺した』


グスタフの体から漏れる魔力が落ち着く

大きな恐怖から解放された彼女は無意識に涙がこぼれた

これで良い、グスタフはそう思うと彼女の頭を軽くパンッと叩き、背伸びをする


『ガーランド、今後こやつは慎重になるだろうがチームを組ませて育てたほうが良い、孤独は人を駄目にする。同年代の友人くらい作らせてやれ。あの勇者チームとかヤンチャ女と合うぞ』

『あの女とか…』

『きっと合う、魔力袋がそう言っている』


グスタフのその言葉でガーランドの意向も定まった

彼がいうのならば問題ない、インクリット達を見て人を見る目が確かだと感じていたからだ


『立てジャンヌ・マキナ』

『は…はい!』

『力を持つ者が一度は通る失態、今回はガーランドにとって最悪な場所でそれが起きたからに過ぎぬ。これがお前の初心になる…、時間をかけて本当の世界での出来事を受け入れるためには経験が必要だが、孤独では何も得られん…お前の欲しい物や言葉は他人が持つからこそ人は繋がり合う生き物だ。それらを手に入れながらこの世界を愛せるようにするしかないとしか俺は言えん。』

『わかりました…』

『だがお前が先ほど感じた恐怖や不安は大事だ。それは今後に役立つが…まぁ今は帰ってガーランドに叱られながら良い飯を食え。俺はノアとのキュウネルの件で色々考えねばならん』


(私、助かった…のね)


力が抜け、また座り込むがグスタフは首を傾げるだけだ

ガーランドは再度グスタフに謝罪の言葉を口にするが、彼女が見ていないからと彼がグスタフに小さな笑みを浮かべた


一役買った

その事をジャンヌは知らない


(すまないグスタフ、恩にきる)


グスタフは裁けない

これは彼だけじゃなく、実はガーランドも予想していた事だった

双方ともにお互いの思惑など知っている、利害一致というべきか

グスタフは今後の事を見据えて王族と距離を置くわけにもいかず、それは王族も同じ事を言える


『ところでグスタフよ、ダラマンダーを倒したとか聞いたのだが』

『お前にやる、ケサランパサランの羽だ』


何故ドレットノートが多くいたのか、ダラマンダーが来たのかグスタフは話ながらガーランド公爵王にケサランパサランの羽を手渡した

煎じて飲めばいかなる病も直る幻の薬の原料となる事は誰もが知っており、ガーランド公爵王は手にした物を見て苦笑いを浮かべた


『こんな重い話の後で申し訳ないが頼みがある』


グスタフは告げると、彼の口から驚くべき言葉が飛ぶ

ガーラントでさえ都合の良い話、勿論彼は頷くが、巻き込まれたジャンヌはグスタフを見て萎縮してしまった






そして数分後、その頼みは叶う

見渡す限りの荒野はファーラット公国のとある地

そこにはメェル・ベールを担ぐグスタフと長い片手剣を手にするジャンヌが互いに向き合っていた。


緊張のあまり息を飲むジャンヌ

目の前の男は底が知れぬ力を持つ男


(彼は…)


彼女にはわからない

アクアリーヌ戦での情報のみでは決して推し量れない実力を持っているからだ

それに対し、ジャンヌの情報は筒抜けであり戦う前からの情報戦で負けている


今日、二人は公国の歴史上で大きな戦いをする事となる

グスタフの興味がこの戦いを呼んだのだ


『強化・フルバースト』


グスタフの足元から赤い魔法陣が出現すると、彼の体に炎が絡み付きそのまま吸収されていく。

身体能力を底上げする炎魔法であり、彼はその後に風属性の強化魔法スピードアップや火属性魔法パワーアップ、そして水属性強化魔法アーマーという耐久値向上を自身に重ねてかけていく


負けじとジャンヌも同じ魔法を遅れて身体能力を底上げしていくと、グスタフは笑みを浮かべた


『本気で来い。今のお前ならそうしなければ俺に一撃さえも当たらんぞ』


グスタフの魔力、それはジャンヌの目でも確認出来るほどに強大であり、体から魔力が大量に盛れ出す程だ


(人間とは思えない…この魔力)


対してジャンヌには魔力は無い

ギフトの恩恵が彼女の魔力量増幅を蝕んでいるのだ。


(底をつかない魔法の連発は最高の全滅力。超位魔法などいらんほどにな)


魔法の発動には遅れがある

下位なら即座に発動できるが、ランクが高くなるとそれだけ発動に差が起きる

だからグスタフは大きな魔法を使えない

魔力切れの無い上位魔法の連発はグスタフでも驚異なのだ


(何を媒体に発動しているのか…見てみるか)

(きっと大きな魔法を…)


二人の思惑が大きくずれた

熱を帯びた二人は無風の中、耳なりと自身の心臓の音だけが響き渡る


(剣を構えたが…重心が少し引き気味か、様子を見る気か、それとも引き撃ちか)

(あれは大きな化け物、なら大きな攻撃の隙を狙って)


基本に忠実なジャンヌは回避に意識を向けた

グスタフが武器を構える素振りが無いのを不気味に感じつつと彼女は深呼吸で心を落ち着かせる


色々な選ばれし者を知る人間が目の前で相対している事実は、自分以外の飛ばされた存在と戦った事があるという事だ。

結果は口にしなくても先ほど彼の話の中に包まれていた事に彼女は気づいている

戦って勝利しているだけじゃなく、息の根を止めた事がある言い方だった


『では行くぞ』


その声と共にグスタフは足場に突如として大きな亀裂を残し、消えた

瞬間移動の類ではなく、大地を蹴った反動で地響きが起きそして突風が巻き起こる

あまりにも早く、そして…


『っ!?』


背後から嫌な予感を感じ、彼女は振り返りながら片手剣を構えた

同時に起きた事、それはグスタフのメェルベールと剣が大きな金属音を響かせて触れ合った


物事は一瞬で起きる

彼女は力の押し合いで一瞬で地面を転がるように吹き飛ばされた

回転しながら色々な部分を地面に打ち、呼吸すらままならぬ状態でも反動を利用してうつ伏せになると両足で勢いを抑えていく

視線は遠くで傍観を決めるグスタフ、彼女は地面を抉りながらも徐々に速度を落とす


(本当に魔導の人なの!?これじゃ…)


力で押し負けた。全力で身体能力強化し、そして武器の力を借りて筋力の底上げをしたはずなのにだ。

いかなる魔物にも打ち勝つ力を与える彼女の長い片手剣はキングダムという最高峰の魔法剣

使用者の力を底上げし、大抵の魔物とやりあえるようになるはずだった

しかし目の前の男には効かなかった


ようやく吹き飛ぶ勢いが消え、彼女の背後には噴煙が舞い上がる

静かに歩いてくるグスタフが異様な不気味さを出し、堂々たる歩みは彼女の士気を削いでいく


(心理戦に弱い。それは選ばれし者だからだろうが)


一瞬でも相手が格上だとわかると直ぐに冷静になれなくなる

グスタフはそれを理解し、全力で攻撃をしたのだ

冷静になればいかに未熟な人間だとしても、彼にとって脅威になるからだ


(ギフトを使われると容易に近付けなくなる)


魔力消費無しでの魔法の行使可能

それは魔法という強さにあるデメリットを克服した最高の武器だ。


(あの子は魔導論はきっとまだだろう。)


ギフトを使用し始めたらグスタフでも本気を出さなければならないからこそその前にからくりを知る為、時間をかける作戦に出る


魔法とは魔力を消費して発動する、それだけでは正解ではない

媒体が存在し、それは星の核から放出される神力

特定の生物の体内で生成される魔力

万物が生きるために必要な大気中に存在する酸素


それらには役割があり、魔法陣を展開するために神力が描く

魔法陣に力を宿す為に魔力を魔法陣に注ぎ込む

そして酸素は一部の変化した魔力と結合し発動する役目を持つ


グスタフは歩きながら模索する、それは遠くで武器を構える彼女も同じだ


(この距離なら魔法で…いやあのスピードで近づかれたら発動前に…)

(頼む…撃たないでくれ…)


魔力消費無しでの魔法発動は理論上では魔法に威力も無くなり、そして魔法発動の起爆が不可能になる。

魔法発動の流れがまったく別な仕組みという所まで来ると、グスタフは苦虫を噛み潰したような顔を浮かべる

だが彼女には羊の鉄仮面の裏に隠れた表情などわからない


(でも私らしさで戦わないと)


ジャンヌは手を伸ばし、赤い魔法陣を展開する

自身の持ち味を活かさないと戦いにもならないと判断した事は正解であり、グスタフは舌打ちを鳴らして駆け出した


(いやらしい魔法を選ぶとはな!)


『アクア・サテライト』


彼女の背後には無数の青い魔法陣

それらは1mサイズと小さい方だが、まるで壁の様に多く展開されていたのだ

水属性上位魔法、それは非常に強い水圧の水弾を放つ

100を超える魔法陣から放たれた水弾はグスタフに襲い掛かる

まるで前方から雨が向かってくるかのような弾幕に彼は溜息を漏らした


(超面倒なの選んだなこいつ!わかって選んだのか?いやなんとなくだ)


避ける時間は無い、ワープさえも発動する暇もない

だからといって素直に受け止めればグスタフといえど軽傷で済まない

彼は直ぐに発動できる魔法を選び、囁いた


『ポケット・ディメンション』


影属性魔法であるそれは足元に黒い穴を生成し、術者を隠して指定した場所に移動させる

それはワープの様に広範囲ではなく、近くだからこそ発動が早いのだ


『くっ…』


ジャンヌの目からもグスタフが足元の黒い地面に消えていくのが見えた

強力な水弾の威力は地面を抉り、轟音だけがその場に響き渡る

直ぐに魔法を解除し、ワープで空中へと移動すると同時にグスタフはジャンヌの後方100m先の地面から黒い穴の中から生えてくるようにして現れた


この回避でデメリットを背負ったグスタフは上空を見てその場から飛び退く

ジャンヌは落下しながら魔法を発動しており、それは火属性上位魔法プチフレア

1mサイズの小さな球体、しかし絶対に油断してはいけない魔法

地面にそれが落ちた瞬間。一気に燃え広がり周りは火の海と化し、石をすらも燃やし尽くす


(連続で撃ってくるだろうな)


ワープで彼女は地面に落ちる前に遠い場所に瞬間移動し、比較的連打がしやすい火弾や水弾、そして投擲速度が速い雷弾で牽制し続ける

小賢しい使い方に少し面倒くささを感じつつもグスタフはある程度は彼女を評価し、その力の源を探り続けた


(確かに魔力を感じない魔法、だがまったくわからぬ)


土属性上位魔法ドランジェという足元に巨大で鋭い岩がそそり立つ

それは鉄でも貫通する強度を誇り、グスタフでも避けるしかない

連発できるからこそ、彼女は何度もそれを発動して彼を疲れさせようと一定の距離を保ちながら発動し始める


(距離が詰めれないぞこれ)

(なんで当たんないの!?)


グスタフが近づけば、彼女は下がる

自分を襲う岩、視界を遮る為に前にそそり立つ岩

全てに意味があるが、それは彼女の努力の賜物だ

生きるために、扱いやすい魔法を選び使い方を練習していたからだ

もしもの為の最大火力をまさか人間相手に使う日が来るとはジャンヌすらも思ってもいなかっただろう


(しかし…あの子)


とても妙だと彼は気づき始めた

グスタフはその言葉が脳裏を埋め尽くす

何故自分はこの程度で息を切らそうとしているのだと


戦争ではもっと動いたのに、その半分も動いてないのに疲れ始めている

こんなのあり得ないと思いながらもジャンヌが疲れ始めていることに気づく


(何故お前が疲れている?俺は回避で疲れるならまだしも距離を取る為に動くお前とでは体力の消費は天と地の差があるんだぞ)


離れるよりも避ける方が体力を使うのは当たり前の話だ

緊張で疲労が溜まったのかといえばグスタフはその考えを否定する


(もしや…)


馬鹿な考えを彼は浮かべた

理論上あり得ない事ではあるが、グスタフはもし彼女のからくりが自分の予想通りならば一瞬で決着がつくだろうとわかった

しかしリスキーであり、間違った場合に大きな隙を作る事になりそれはジャンヌの攻撃のチャンスを与える行為に等しい


(やるしかないか!)


左右から巨大な壁が起き上がるようにして現れた

それはグスタフを潰そうとしており、今の速度では明らかに逃げ出す前に潰される

地属性上位魔法アッパーキャニオンは50mという巨大な壁、前に飛び出すにはあと一瞬が足りない


しかしグスタフにはスキルがある


(電光石火)


バチンと音を立ててその場から放電した粒子を残して消えたグスタフにジャンヌは驚愕を浮かべる

押し潰す事が出来なかったのは確か、ならば彼はどこなのだと思った瞬間にそれは目の前に閃光と共に現れた


一瞬のみ本当の雷の速度である時速72万キロ、秒速では200キロ

再度発動にはかなりのクールタイムがあるが、今しかないからこそグスタフは使った。

驚くジャンヌ、その感情は一瞬の隙だ


(あっ…)


そして彼の終わりの音が彼女の耳に届く

グスタフは彼女の顔の前で指を鳴らしただけ、その瞬間に起きた風など気にせずジャンヌは発動速度が速い魔法である雷属性中位魔法ショック・ボルトという大きな雷弾を放とうとした。


しかし魔法陣すら現れなかった


(そんなっ!?…あっ…)


『気づいてももう遅い』


彼女は息苦しさを感じた

呼吸が出来ない事に体が僅かに驚き、強張る


視界から脳に流れる情報が多すぎたジャンヌはようやく目の前に巨大な黒いハルバートが首元に添えられていることに気づく

対応が追い付かず、負けたとわかると息が出来ない事をグスタフにアピールし始める


(やはり酸素…か)


もう一度指を鳴らすと酸素は戻り、彼女は精一杯呼吸をする

魔力の部分を酸素で補うという事に驚きを隠せないグスタフは答えを彼女に聞こうとしたが、きっと聞かされてないから満足のいく答えは出ないだろうと開けかけた口を閉ざした


辺りは地形が変わるほど荒れ、まるで怪獣が練り歩いたかのような地獄の様な景色

ギフトの恐ろしさを久しぶりに目の当たりにしたグスタフは彼女がまだ未熟でよかったと感じ、安堵を浮かべた


(ヤバ過ぎだって…)


『何をしたんですか…』

『俺にも答えが無いが、お前は魔法に発動に必要な元素である魔力を酸素で補っている。』

『酸素…』

『やはり知らなかったようだが。もし当てが外れていたらあのままごり押しで潰すしかなかったな』



激戦があったのが嘘のような静けさとなる

戦ってみたいという彼の願いはジャンヌのとってかけがえのない経験であり、それは今後きっといかされるだろう

だが彼女は負けたことに肩を落とした。


必死で生きるためにそれなりに頑張った

だが初めてこの世界で手も足も出ない負けを味わった

右も左もまだわからない彼女は不安に陥り、涙目になるとグスタフは口を開く


『お前がこの世界で必死になっているのは認めてもらいたかったからだろう。焦りは後悔を生むが、だからといって人生に抗う事をやめたら本当に居場所を無くし、お前の存在はどこにもなくなる』

『…』

『生きる為に必死になることは生き物にとって綺麗な姿だ。戦っていてわかったがお前は俺と似ている』


グスタフは仕方なく自身の過去を話した

強くなりすぎて人は恐れを抱き、彼は居場所を失う

生きる為に力をつけ、その過剰な力は弱き人を守るために武器を振る

だが結果は恐怖を抱かせ、国を出た


そんな彼はジャンヌに歩むべき言葉を送る


『負けた者は飛んでくる言葉を全て受け止める義務がある。どんなに耳障りな事だとしても言い訳で逃げれば負けた意味も価値もない。お前は新しい人生の中にいると認めてこの世界を知るべきだ。慎重さを覚えろ』


言い訳は人を成長させない

負けた方が得があると彼は言う

正しい方向に努力が向くように単純な言葉を彼女の目を見て伝えた


『お前は強い。しかし心が未熟、それは仕方がない事だが焦るな。暫くは誰かの意見を参考に考察し、そして動けるように今はしろ。慎重にならねば出来ぬ事、まぁ友達でも作れ』




こうしてジャンヌは立ち上がると、涙を拭う

こんな人間いるんだ、と思いながらも彼女はフラクタールの失態を背負い進む事を選んだ


居場所を見つける為、存在を認めてもらうためにジャンヌにはそれしか手が無い

自分は本当の世界で死んだ。ならば誰よりもこの世を知っているであろう者の言葉に耳を傾けた


『俺に勝つには10年早い』


比喩と捉えず素直に受け止めよう

まだまだ足元にも及ばないなら自分の力をもっと知るべきだ

否定的な言葉が多いなら何かが間違っていたからだ。

苦労ある道をまた歩む不安を感じつつもジャンヌは深呼吸し、口を開く


『わかりました』


(…ガーラントめ、そろそろ気付く頃合いか)





こうして二人はその場で別れた

ジャンヌは直ぐにガーラント公爵王のいる宿にワープで着地すると、彼と二人だけの対話となる。

ロビーの一角に位置する休憩所の椅子に座り、沈黙の中でガーラント公爵王が彼女の反応を待つ


『あの…その』

『フラクタールの件はこちらで対応する。帰ってもノアやフルフレアにきっと何かしら言われるだろうがノアがガチ切れするのは覚悟しろ』

『…はい』

『それで?あやつはどうだった?』

『………』

『言葉に詰まるか?』

『一撃も当てることなく負けました』


僅かに目を見開くガーラント公爵王は椅子に大きくもたれ掛かり、彼女の様子を伺う

言わされた様子もなく事実を口にした事は確かであり、ガーラント公爵王は戦いの結果に脳を働かせ始めた


(…やはりか、お前の身に何があったというのだ?何故私の前に現れた?裏切ったのはハーミット国王?、そして殺した…まとまらぬがシドラードで起きた?)


『…予想通りの結果だ』

『え?』

『あの男は笑いたくなるほど強かったろう』

『はい、人なのかわからなかったです』

『ちゃんと人間だ。きっとグスタフはお前と気が合う…。やつもお前と同じで存在を認めてもらいたい側の人間だからだ。だからここにいる、だからフラクタールは公国にとって今後重要な街だ。』


ガーラント公爵王はフラクタールの重要性を彼女に説明しつつ、とある事を思う


(ミカン、そういえば嫌いだったな…)

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