第75話 聖悪

グスタフがギルドを去った後、1階にある宿部屋に泊まっていたホークアイはトイレに起きると、その後は薄暗いロビーからカウンター奥でドレットノートの件に関して報告書を書くギルド職員に目を向けた


眠そうな面持ちで書類を手に溜め息を漏らしている姿を見て僅かな同情が芽生えた

ガンテイが重傷を負ってしまったことを思い出すホークアイはあの時の光景が焼き付いている


(奇跡だ)


近くの椅子に座り、そして思い出す

軽々とガンテイを吹き飛ばすドレットノート

直撃で即死だと誰もが思い、驚愕を浮かべた瞬間でもある


辿り着いた瞬間での出来事だった為、ホークアイは小さく舌打ちを鳴らすと肩を落とす

あと数秒あれば彼はきっと無事だった

もっと急ぐべきだったと


(くそ…)


公国騎士やホークアイ率いるタイガーランペイジでもドレットノート相手に苦戦を強いた

アドレナリン全開の魔物相手となると慎重にならざるを得なかったからである

それほどまでにB上位は別次元なのだ。


『最後はダラマンダーか…』


そんな独り言が聞こえ、ホークアイは首を傾げた

そんな化け物、今回いたっけ?と


(そういや公爵王様も馳せ参じたとなると、いよいよグスタフさんって凄い人なんだな)


初めて出会い、力を感じた

アクアリーヌ戦での功績が轟き、憧れを知った。

上位ランクの彼だからこそグスタフが国からも重宝され、王族も動いた

その事実を前にホークアイはどことなく自慢気になる


(次は一撃くらい…いや何重のフェイクが必要に、いや大事なのはフェイク?通じない通じない…。グスタフさんに小細工は効かない)


寝る事を忘れるくらいに夢中に考えるホークアイは剣を構え、イメージする

彼だけに見える目標は半透明で現れるが、どんなに都合よい場面を想定しても返り討ちされるイメージが先行し、歯が立たない


(フェイクはきっと直ぐに悟られ、本体を探られる)


ならば初手から全力で行けばどうなる

それでも足を動かすことなくきっと剣を弾かれる


(もし俺の切り札が強力なら?)


当たらなければ威力はゼロ、技でも魔法でも放つ前か回避後に隙を狙う

考えれば考えるほどに遠い存在、だからこそまだ強くなれる

目指す者は想像で生きる、それは彼だけじゃなくグスタフの近くにいる者もそうだ


『手札が足りない…か』


頭の中で動いただけ、しかし彼の額から汗が流れた

息を切らし、椅子に座るホークアイはカウンターに向かって職員から水を貰おうと歩き出した瞬間、背後から突如として気配を感じ足を止めた


『っ!?』


一瞬の魔力気配

振り向きながら剣を構えたホークアイは驚く

先程までいなかった筈の女性が立っていたのだ


長髪の赤髪、腰には立派な長い片手剣

彼女もまた、手練れだと気付くが違和感がホークアイを悩ませる


(なんだ…?)


若い女性、しかし目に強さはない

感じる魔力は本物なのにどことなく感じた事もない感覚が彼を襲う


『誰だ?』

『あら、稽古中だった?』

『気にするな』


構えを解き、椅子に座り直すホークアイ

彼女が何者なのか、何故ここにいるかなど知り筈もない

知っていれば、きっと彼は違う行動をとっていただろう


女性は近くの椅子に座ると、収納スキルで水筒を出現させて飲み始める

彼女も収納持ちか、とホークアイは羨みながらも苦笑い

すると女性は辺りを気にしながら口を開く


『静かね』

『今日は特にな、ドレットノートのオス2体にダラマンダーが現れたからな』

『…どういう事かしら』


彼女の目付きが変わる

少し驚くホークアイだが、彼は溜め息を漏らすと床を眺めながら淡々と話し始めた


『死んだメスのドレットノートの血が川に流れたせいでオスを呼び寄せたんだ。それでフラクタールは大パニックだったがアクアリーヌにいた公国軍の救援で持ちこたえたよ。まぁ死傷者は大勢でたがもし公国軍がいなければ街は壊滅しただろうな。』


彼はそこまで話すと顔を上げた

しかし、その時には彼女の姿はなかった







そして数分後、フラクタールにある宿を貸し切って泊っているガーラント公爵王は側近である黒騎士に起こされる。

今すぐ会わなければならぬ者、飛び起きた彼は直ぐに準備をすると凍てついた表情で廊下を歩く


共に歩く5人の黒騎士でさえ、息を飲むほどに主の姿は怒りにまみれていた

握る拳、床を歩く足音、そして歩く早さがそれらを物語る


こうして小さなロビーにある休憩所には黒騎士が10人、ガーラントは椅子に座るとテーブル向こうの椅子に座る女性に目を向けた

少し落ち着きのない様子を見せる女性は彼の冷たい顔に気づいても狼狽えない


『勝手な事をしてくれたな』

『たまたま結果がそうなっただけよ』


まるで結果など見向きもしない姿勢にガーラント公爵王は頭を抱える思い

そうなる予定じゃない、だから違うと言われている気がしてならない彼は椅子の背もたれに重くもたれ掛かり、静かに口を開く


『都合の悪い結果には目を向けぬ…か』


黒騎士が息を飲む音も聞こえる静寂が緊張感を誘う

目を会わせぬジャンヌ・マキナにどんな言葉を差し伸べるべきか彼でさえわからない

この世界に来て2年、彼女は与えられた神からのギフトを使えるようにするため、ファーラット公国にて鍛練と勉学に励んだ

しかし致命的な部分が欠如していたのである


『お前の文化はこの世界では通用しない。どんな生き方をしてきたかは今は興味無いが…100以上の死者を出したのが答えだ。あのまま貴様が偽善行為さえしなければ街は何事も無かった。家族のいる冒険者もいた、俺とお前が間接的に殺したと言っても過言ではない』


彼女は無言のまま、顔を逸らしたまま

囁くような言葉は聞く者の耳に大きく聞こえた。

口を開かないジャンヌに徐々にガーラント公爵王の体に熱がこもり始めると、そこでようやく彼女が動いた


『…犠牲は…付き物よ』

『貴様の犠牲は間違った犠牲だ。とても許せる行為でもなく、許せる態度でもない』


彼は目を細目、静かな怒りを浮かべるとジャンヌは僅かに驚く

しかしまだ彼女はこの件に関し、予想以上に重大な過ちをしてしまったことに気づいてはいない


しかし怒りを浮かべるガーラント公爵王は決してその感情を爆発させてはいけない

目の前にいる女性には力はあるが世間知らずの集合体のような存在、僅かに震えている肩を見れば彼女の今の心境を悟れるのだ。


『逃げたくなるのはわかるがそれが力を与えられた者が間違えた使い方をした時に感じる胸焼けのような感覚だ。』

『私は…』


ガーラント公爵王は貴族王、だがジャンヌ・マキナは選ばれし者であり別世界の人間

権力も力にも触れる事ない環境で育った経験しかない事は彼も承知

だからこそ彼女は新しい世界で生き抜く為、

認めて貰うために動いていた


『街に関しての詫びは王族らでやる。しかし本当にお前は不味い事をしたから今俺や妻のヴァイオレット、ノアやフルフレアが泡食ってる』

『どうして…』

『簡潔に話してやる。ここフラクタールはお前以上に強い武人の縄張り、しかも彼は国の未来に大きく貢献し今後の公国を支える働きを見せた。だがドレットノートの件の日にはこの街におらず、その結果…お前の行いで恩を仇で返す結果にしてしまった。』


『っ!?』


自身より強い

そんな人間を彼女は知らない

不馴れな力の使い方をしてはいるが、それでもジャンヌ・マキナは公国で随一と密かに言われていた


『しかも死傷者の中に彼の親しき友人や愛弟子がいる。彼が怒れば帝国やシドラードに対しての対抗策がより厳しくなる。ましてやお前の命も危ういぞ?俺は守れぬ』


あえて彼は事実を少し曲げて話した

重大さに気づき始めた彼女は黒騎士からもわかるくらい肩が震え出す

だがしかし、本心を口にするまではこのように伝えるしかないと彼はあの者の言葉を思い出す


【恐怖は弊害を及ぼす事もあれば薬にもなる、選ばれし者の世界には無くこの世界にしか存在しないような独特の恐怖、脅すのは得意かガーラント?】


(あぁ得意だ。)   



『共に頭を下げにいこう…、多分殺されないが保証はない。』


脅しの際、ガーラントは自身もつくづく、と感じた

怒りが緩和されていく自分がまだ未熟、若者相手にかける言葉で心の中で王族としての何かが泣いた気がしたのだ。


(やむ無しだ。)


『その…武人の名は』

『この街にはあのギュスターヴと同格と言われるグスタフ・ジャガーノードがいる。羊の鉄仮面をした黒い鎧、腰からは不気味な赤マントの者だ』


彼女は思い出した

森の中で遭遇した男がそのグスタフだった事を。

あの男が密かに国を背負い、王族の背中を支える存在 

強さを感じる事はなかったジャンヌだが、彼女の心に不安がよぎる


この世界には死が蔓延している

自分は人をまだ斬れないがグスタフという男ならきっと私を殺せるだろう、と


ギュスターヴには絶対に勝てない

そう大陸で言われている事は彼女も承知

選ばれし者でも勝てなかったからだ

そんな彼と同格、怖くないはずがない


恐怖よりも恐ろしい死が潜んでいる

それが自分の足に巻き付き、逃がさない

しかしジャンヌは僅かにも意味の無い考えを浮かべた

本当のその男は強いのだろうか、と


『実感してないだろうが、出会えば嫌でもお前はわかる。何をしでかしたか』


言い訳など通用しない男、そんな存在に最悪逃げる事も彼女は視野に入れる

善意の押し付けでこんな事になるとは思わず、平常心を保つのも限界

死が近づいている、それだけで別世界の人間は顔を真っ青に染めてしまう


『この世界を知る為に歩めと言ったが、自由に我儘を押し通せばこうなる。否定的な言葉は時に必要な言葉でもある。』

『それ以外に何かないの?』

『無い。逃げればお前は確実に死ぬ。奴は直ぐに探し出して死んだ者達の苦痛を与える為にジワジワとな』


凍てついた表情でガーランド公爵王は大袈裟に言葉のする

ジャンヌにとってとてつもない威圧となり、とうとう彼女は頭を抱えた


(なんでこの世界に…)


何故来てしまったのか。答えは彼女の中にはない

知っている者はいる、その者を見つける事を彼女は知らない


真夜中の出来事、彼女は警備付きでこの建物内で明日を向かえる事となる

しかし彼女が寝付く事など容易ではなかった事は翌朝、ガーランド公爵王が朝食時の彼女の表情で悟る


個室での朝食は狭く、黒騎士に囲まれながらフラクタールの南に位置する海で取れた海鮮に箸を運ぶ

ガーランド公爵王といえど、あの時のグスタフでいてくれるかどうかが内心不安でならない


彼女を見て我慢はするだろう、しかし飛び出す言葉次第では奥底の怒りが爆発しないかという心配があったのだ


(奴は今後、公国には確実に必要な人材だ。権力にも縛られぬ自由意志、だからこそ倫理的に話してくるだろう)


それは別世界だからと関係は無い

選ばれし者の未熟ゆえの問題であることは理解していても、彼女の出方で変わる

目を腫らしている様子を見てガーランド公爵王は小さく溜息を漏らした


『何のためにこの世界に呼ばれたのか。そして大人として本当の世界で育んだ経験は通用しない。全てが今までと違って否定的…、だが今から出会う者は何者なのか、ノアから聞いた話だが聞きたいか』


頷く事は無い、しかし彼女にはそんな余裕もない


『私には何もない』


彼女の中の答えはそうだ

この世界に慣れるまで1年を要し、それは諦めからくる慣れだ

実質、ジャンヌはギフトの使い方を知る為に鍛錬したのはその後の1年

歳は18、この世界に来る前は未成年であり学生であった


彼女の世界では20で成人だがこの世界では16と定められており

何も知らぬ環境で人の生き死にが近い環境での生活は慣れる事は無い

そんな彼女なりの今の答えが先ほどの言葉だ


全てを失ってここに来た

しかし生きていくしかない

幸運なのは王族に存在を知られ、保護された事だ

殆どの選ばれし者は自分が何のために来たのか、そしてどうすれば迷い

そして死んでいく


自分のせいで大勢が死んだ

それは彼女の本来の人生では決して起きない事だった

だからこそとある者はそれを知っている


『答えを求める為に行こうか』


半ば連行される形で宿を後にしたジャンヌ

黒騎士100名の護衛のもと、ガーランド公爵王と練り歩くフラクタールの大通りでは視線が集まり人々は足を止める

何処へ向かいのか、それは直ぐに目の前に答えがあった


フラクタール冒険者ギルド運営委員会のギルドだ。

今日、冒険者は立ち入り禁止であり関係者のみ入場可能となっている

ガーランド公爵王が彼女の肩を軽く叩くと、ジャンヌは深呼吸をして共に歩き出す。


(私は…)


良かれと思ってやった

結果を認める勇気が彼女には無かった


緊迫した空気が漂う最中、ギルドのドアを開けるとカウンターに腰を下ろす武人が1人

ジャンヌはその姿を見て目を見開く、それは森で遭遇した男

グスタフ・ジャガーノートは肩にメェルベールを担ぎ、彼らに顔を向ける

ロビーを歩くガーランド公爵王らの足音が響き、不気味な静けさがジャンヌに恐怖心を抱かせる


(上にも…)


初めてエルフ族を見たジャンヌは吹き抜けの2階から自身を見下ろすその綺麗な女性エルフに驚く

そして距離にして5メートル、ガーランド公爵王は黒騎士と共に足を止めると一礼し、口を開く


『非礼を詫びる。かのアクアリーヌ戦ではそなたの武功そして人脈の広さで今後の公国の発展や防衛により磨きがかかる事は間違いない。しかし今回の件に関して納得する答えを聞きたい』


頭を下げるガーランド公爵王を見て緊張が高まるジャンヌは肩を力みながらうつむいた

普通ならば共に頭を下げるタイミング、そこまで彼女に考える余裕はなかった

これには黒騎士は驚き、目が泳ぎ始める


(死にたくない…)


心では何をしてしまったのか理解している

だがそれを口にする勇気が今の彼女にはない

目の前にいる化け物は以前遭遇した姿と同じでも気配がまるで違う

体中から尋常じゃない程の黒い魔力が漏れ出し、それは天井にまで伸びる勢い

明らかに静かに激高しているとわかれば、この世界の素人の彼女は自分が死ぬ未来が目の前まで迫る思いだ

助ける者は誰もいない、そう思いながらも半ば涙目になる彼女は奇跡を耳にした


『沢山の選ばれし者を見た。そして悪しき者はこの手で殺してきたが彼女は清らかだ。今回の件は確かに許されぬ行為だが…』


何が起きているのかと驚くジャンヌはメェルベールをカウンターに置くグスタフに視線を向けた


『わ…私は』

『認めるのが怖い、そういった感じだろうな…。目を見ると悪さを働くような人間じゃない…、理不尽の中で生きるしかない未熟児。その道で今回は抗いながらも道を踏み始めた。』


とてつもない魔力を感じるジャンヌはこの男は何者なのか、本当に以前遭遇した男なのか疑問を浮かべる


『ここでは力の使い方を間違えたら犠牲が多くなる。以前出会った選ばれし者から聞いた面白い言葉があるが、良薬は口に苦しという言葉があるが意味はわかるな?』


彼女は目を見開きながらも強く何度も何度も頷いた

この人は知っている、自分の知りたい答えを持っている

根拠はなくても彼女はそう思った。


だからこそ歩むために、彼女は口を開く


『否定的な言葉、聞くに堪えない言葉の中にも…自分の今後のためになる言葉が…ある』

『そうだ。お前がもし今現在は公国最強だとしても世間知らずに変わりはない

。赤子が最高峰の剣を手にした状態、非礼を詫びるならば今回の件、水に流そう』


彼女は彼女の世界での詫び方を使った

それはグスタフも見たことがある土下座であった

この世界にもその詫び方が存在するが、それは選ばれし者が初めて使って広まった謝罪の形でもある。


『ごめん…なさい』

『良い。お前は運がいい…普通の選ばれし者は悪に染まる』

『悪に…?』


彼女は顔を上げると、グスタフは現実を彼女に教えた

慣れぬ世界、夢のような世界を現実だと認識せずに欲に溺れる者はいる

力に慣れる前に死ぬ者、欲に溺れる者が大半であり、正しい生き方を歩む者は少ないとグスタフは言う


『何故この世界に来たのかの答えはわからぬが。お前同様の選ばれし者は以前の世界でどのような日常だったかを聞いたことがある。お前もきっと同じだ』


選ばれし者は神の救済で呼ばれただけであり、大きな使命など無いとグスタフは答えた


『生きたかったと強く願う者のみ、前の世界でお前は何があった?他の選ばれし者はイジメで自殺した者、癌という重病に苦しんだ者、事故にあった者など様々だ』


彼女は本当の世界を思い出す

都会の女子高生、普通に暮らしていた筈なのにいきなりここに飛ばされた記憶しかないが、一部欠如している部分がある


『う…』


片頭痛に悩まされる彼女に突如としてそれが起き、断片的な映像が頭に浮かぶ

誰かの叫び声、振り返ると人が上を見上げている

見上げる暇もなく彼女の視界は真っ暗になってしまい、その時の激痛が走った

そして声だけが彼女の頭に響き渡る


『誰か救急車』

『嘘だろ…飛び降りで』


(私は…)


巻き添えになった

無関係な何者が絶つ命の犠牲になったことを思い出し、頭を抱えた

予想がな出来事や、不慮の事故だからこそ人間は覚悟を決めていない、そして願う

まだ死にたくない、と


ジャンヌは頭によぎった思い出を口にすると、グスタフは驚きを浮かべた

だが直ぐに彼は近くの椅子に座り、ジャンヌとガーランド公爵王を座らせた


『よく選ばれし者は魔王でも倒すのか?と勘違いしていたのを思い出すがこの世界の魔王は普通に国家として普通に存在している。』

『最初はそう思ってました』

『新しい生き方をもともとの世界で出来ないのは釈然としないだろう。全ての価値観がまるで通じない。だからお前は口数が少ないのだろう』


彼女は返事をしようとすると、目の前で驚くべき事が起きる

グスタフを囲むような緑色の魔法陣が出現したのだ

これには誰もが驚いて椅子を立ち上がり、黒騎士は慌て始める


『超位魔法・フェアリートーク』


色鮮やかな小さな球体が現れると、それらに羽が生える

まるで生き物のような物体はグスタフの周りで楽しそうに飛び回る光景は圧巻だ

それは誰もが知らない魔法であり、ジャンヌでも覚えていない上位以上の超位魔法

格が違うとわからされた瞬間だった


魔力の球体となって人の前に姿を現す妖精はグスタフの耳元で何かを囁くがガーランド公爵王やジャンヌにはわからない

黒騎士に落ち着くようにガーランド公爵王が指示をした瞬間、その光景は粒子となって空に消えうせた


『ジャンヌ・マキナ』

『は…はい』

『真名はユウカ・チバ』


ジャンヌは今日、何度驚けばいいのだろうか

この世界に生を受けて誰にも話していない名を彼が口にしたのだ

先ほどの球体が彼女の名を教えた、それしか考えられないだろう


『ギフトは魔力消費無しでの全ての上位属性までの魔法を行使する能力。しかしそこに闇と聖に通ずる属性は無い。技も剣術系、鬼哭斬鉄が精一杯か』

『な…何故それを』

『妖精に聞いた。だが例外として超位魔法のワープを使えるのも教えて貰ったぞ』


(この人…本当に人なの?)


ジャンヌは驚き疲れ、その場にペタリと両膝をついた

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