第71話 逃走

ドレットノートは逃げる冒険者らを追いかけた

いや追いかけていると言うべきだろうか、想像と違ったのだ

走ることなく、大剣を引きづった状態でインクリット達の背後を歩いていたのである


それは余裕なのか、疲労なのか

走ろうと思えば走れる存在である為、前者に答えは近い


『あいつ歩いてるぞインクリット!』

『距離が不味いぜ!』


冒険者らが荒げた声で口を開く

先ほどまで怒りを浮かべていた魔物が嘘のように静かになり、優雅に歩く姿に誰もが不気味さを覚える


『少しペースを落とそう!疲れたらこっちが不味い』


彼の判断はこの後、正しくなる

邪魔する魔物はおらず、いないのは彼らを追う存在がいるからこそ生物は危機を感じて避けているのだ

それはインクリット達にとっては好都合だ


『離れ過ぎたらヤベェ!先生から聞いてんだろ!』


クズリの言葉でインクリットは思い出す

ドレットノートは走ると人間と同じ速度を叩きだすが、そこを彼は言っているわけではない。


【あれの跳躍は50m、気配のする位置が近いならば跳躍して襲い掛かってくる光景が圧巻だぞ】


恐ろしいのは巨体からは信じられない跳躍力、姿が見えなくなれば何をしているかわからなくなる

そうなると、相手の思うツボになるのだ。


『油断しないで!武器振っただけで真空の斬撃が飛んで…』


アンリタが叫びながら言っている最中にそれは起きた

彼女の言う通り、ドレットノートは歩きながら右手の持つ大剣を大きく振ると、大きな真空の斬撃は真っすぐ冒険者達に飛んできたのである

『しゃがめ!』とインクリットが叫ぶと今までで一番早い反応を見せる冒険者達

頭の上を通過する斬撃は彼らの前方にあった木々をいとも容易く斬り倒したのだ


どんな馬鹿力だ?と頭が混乱しそうになるが、今はそんな事を考えている余裕はない

止まっている時間でドレットノートは喉を鳴らしながら歩いて近づいていたのだ

これなら閻魔蠍のツガイの方がマシだったかもしれない、そんな声がインクリットの耳に入る


『傭兵さん!』


インクリットが口を開くと、彼の横にいた複数の傭兵は苦笑いを浮かべた

注意を引き付ける為、アクションを起こす用に彼らはいるのだが、肝心の投げナイフはまるで歯が立たないのだ

ただ左手で顔を隠す程度、顔を守りだけの動作しかしない

投げナイフは全て刺さることなく、皮膚に触れると弾かれたのだ


『ぜんっぜん意味ねぇ…ミスリルのナイフだぞ…』

『インク坊や、ダメージ与えんのは無理だ。こりゃ武器とかそういう問題じゃねぇ!単純に俺らの腕力が通じねぇ』


良い武器であっても相応しい筋力は必要なのは当たり前な話だ

投げナイフは投擲であり、武器を振るよりも威力はない

上質なナイフであっても、そこに自力の力が直接伝わらない限りダメージを与える事も皮膚を傷つける事も不可能


『突きは有効らしいけど』

『殺す気!?』


まだ冗談が言えるインクリットだが、そんなやり取りをしている間にもドレットノートは大剣を振って斬撃を飛ばす

避ける事ならばと誰もが大袈裟に動くが、インクリットは不安がよぎる


(こいつ…)


そのまさかであった

過剰に動くことによって彼らが犠牲にしていること、それは体力である

今更それを最小限で避けろと言っても、直ぐにできるわけがない

一撃で即死する攻撃を前に誰もが避ける事で必死だったのだ。

息を切らす前に辿り着かないといけないとなると、インクリットは判断を鈍らせていく


『おいまさか!?』


叫ぶ声の主はクズリ

嫌な予感をビリビリと感じるその焦る声は現実となる。

ドレットノートは大きく身を屈めると、超跳躍を見せたのだ。

巨躯に似合わぬ跳躍力に皆が足を止め、飛び越えるドレットノートを眺めた

足場は大きく沈み、その脚力の異常さを物語る


ドレットノートはインクリットの前方20m先で着地すると大きく地面を揺らす

僅かに小石が宙に舞い、少数の冒険者が驚きながら地響きで尻もちをつく


『ゴロロロォォォォ…』


凶悪な笑みを浮かべ、白い吐息を吐くそれは悪魔

怒りは違う形で彼らを脅かし始めた瞬間、まるで遊んでいるかのような態度でこちらの心をへし折るような行動に、アンリタは舌打ちをする


『こんなの戦える相手じゃないわね。前取られたわよ!』

『くそ!!風魔法スピード強化!』


小雨で緩くなった足場、それでも彼は自身の強化魔法をかけた

アンリタはまさかと思ったが、そのまさかを彼はし始める


『みんな回り込んで!』


彼はそう告げるとドレットノートに飛び込んでいく

勇敢が無謀か、誰が見てもそれはきっと無謀だと言うだろう

しかしそれを覆すには結果を出すしかない。

インクリットの強みはグスタフとの稽古で著しく成長を遂げていた

今、それがまさに結果を生み出す事となる


『ゴロォ!』


大剣を横殴りに振るドレットノート

飛び掛かるインクリットの足元スレスレであり、それは跳躍を誘った一撃でもある

今まで見てきた魔物よりも明らかに知能が高く、宙に飛ばせた方が自由を奪えるとわかっているから下段攻撃をしてきたのだ。


『利口だね!!でもっ!!』


こっちだって弱いままではない、時間を使って持つ技術の使い方を模索してきた

彼にも自負があり、ハンドハーベンを発動してから大きく跳躍したのである


『インク!』


アンリタが叫ぶ


確かにドレットノートの攻撃は避ける事が出来た、しかしここからだ

攻撃の勢いを利用し、素早く回転したドレットノートは素早く斜めに大剣を振り、宙にいるインクリットに攻撃を仕掛けた

これが狙いだった、しかしインクリットはわかっていたからハンド・ハーベンを両手に持つ双剣を対象に発動していたのだ。


『空を駆けろ!』


彼の右手に持つ双剣が僅かに発光すると、インクリットはインク中で予想外な動きを見せる。

彼は双剣に引っ張られるようにしてドレットノートの左側面を通過して飛び、斜め斬りを見事に避けたのだ。

そんな動きに誰もがドレットノートの背後に回りながら驚愕を浮かべた。


『一発本番で使う馬鹿が何処にいるのよ…』

『あいつ博打する奴だったか!?』


アンリタとクズリが口を開く

だが蛮勇と勇敢の勝負は勇敢に軍配が上がる

流石のドレットノートも予想外な軌道を飛んだインクリットに驚きながら振り向いた


『ゴロッ!?』


目の前には小さな投げナイフ

それはインクリットが着地と同時に地面を滑りながら半回転したと同時に腰に装着している小さなナイフ2本であり。左腕で防ぐ暇もないドレットノートは顔を逸らす


『ゴロォォォォォォ…』


刺さることなく地面に落ちる小さな投げナイフを踏んでへし折るドレットノート

遊んでいた相手に一本取られたとわかると、先ほどまでの雰囲気が徐々に消えていく


嫌な予感の連続は彼らの精神を少しずつ削り、絶望を見せ始める 

動きを止めたドレットノートと距離を保ち、身構える冒険者質は左手を握りしめた瞬間に僅かに狼狽えた


『な…何してんだ?』

『ヤバイだろ、なんかすんぞきっと』


冒険者らの言葉の答え合わせ

ドレットノートは地面を抉るようにして左拳を握って殴ると、土や小石が勢いよく飛んできたのだ。


想像のつかぬ攻撃はドレットノートの腕力の成せる技 

土ならまだしも、大きめの石が命中した冒険者は鈍い声を出して吹き飛んでいった。


『嘘だろ!?』


クズリは盾を前にガードし、近くの仲間を守る。

しかし無防備な人間には抵抗すら許されなかった。

一瞬聞こえる悲鳴、顔を向けた時には横にいたはずの者がいないのである


『一気に20人近く持ってかれたわ』


しかも最悪な事に、目の前にドレットノートはいない

いち早く空を見上げ、インクリットは叫ぶ


『飛び退け!』


ドレットノートは跳躍しており、インクリット達がいた場所に落下してきたのだ。

皆が避ける為に跳躍したが、ドレットノートの着地で起きた風圧でバランスを崩して吹き飛ぶ形となる


『がはっ!』 

『ぐへ…』


木に背中を打ち付けて倒れる者、遠くまで吹き飛ぶ者

ここまででもう40名が脱落している。


助ける余裕などない

インクリットは致命傷ではないだろうと判断すると、皆を誘導しながら森の奥に誘導し始める


斬撃が飛び、土を殴り散弾のような攻撃

それらを必死で避けながらインクリットは考える

どう足掻いても戦える相手じゃない、と


『ゴロロロロォ!』


とうとう走り出したドレットノート

これにはインクリット達も焦りを覚えて駆け出す

スピードは獣に比べ、遅い方だがじりじりと距離が狭まると徐々に皆の雲行きが怪しくなっていく

あと少し、あと少しだと思いながらも正面に川が見えるとインクリットは足を止める

これにはアンリタやクズリが驚き、無意識に振り返ると彼はドレットノートに向かって走り出したのだ。


『馬鹿!』

『インクっ!?』


たまに予想外な行動をする男インクリット

それが今起きてしまい勝手に2人の体も逃げる事を諦め、振り返る

インクリットは考え無しに駆け出したわけじゃなく、彼だけが見えた者がいたからここで迎え撃つことに決めたのである


『ハンドハーベン!』


双剣に効果を宿らせ、スピード強化の恩恵のままで大きな存在の前に立ちはだかる

ドレットノートとからすれば驚異の無い小さな生物でしかないが、彼は違う

先ほど自分を小馬鹿にした者だという事だけは覚えていたのだ


『ゴロロォ!』


大剣を振り上げるドレットノートだが、その瞬間にインクリットは左手の双剣を腰にしまう

そして懐から取り出したのは発光弾という特殊な小道具であり、それはアミカ特製の製品版よりも強い光を放つ道具である

何をしようとしているか、察したアンリタとクズリは驚くがここで戦う事に変わりはない。

何かをしようとする彼の後ろを追いかけるかのように、2人は走る


インクリットは斜めに跳躍し、ドレットノートの振り下ろした大剣を避けた

その目はずっとインクリットを見ており、彼は息を飲む思いだ。


『ほらっ!』


彼は左手の持つ発光弾を投げると、ハンドハーベンの操作で後方に飛ぶ


『グル?』


小細工にもならない小さな物体、石の類かと勘違いしたドレットノートは腕でその発光弾を払った瞬間、それは起きる

眩い閃光がドレットノートを包み込み、誰もが目を閉じてしまう

するとドレットノートは今まで見せた事もない行動を彼らに見せる


視界を一瞬で奪われた者はどうなるか

無意識に防衛本能が働き、大きく屈んでしまうのだ

驚いた声を上げたドレットノートは静かに顔を上げて目を開くが、まだ視界が治っておらず、その目を細めた


人間如きに小細工を許した

それだけでも彼は怒りを覚えたが、そんな感情を起こす時間が隙となった


『銃魔・レミントン』


誰の声だ?逃げる者の声ではなかった

ドレットノートは意識の中でそう感じていた


一撃与える為に不意打ちできる地形まで下がっていたが、様子がおかしくて彼は前に進んできていたのだ

その姿を見たからこそインクリットはここで対峙することを決めた。

そしてムツキは覚えたばかりの怪魔法を発動したのだ。


赤黒い魔法陣はドレットノートの顔の前に展開され、中から飛び出したのは複数の魔力弾

選ばれし者の世界ではそれをショットガンというが、それと同じ形状の弾の発射と酷似しており。近距離ならば威力は計り知れない中位魔法である。


大きな炸裂音と共に、その魔力弾はドレットノートの顔面に直撃すると反動で顔を大きく反らしバランスを崩す

血が宙を舞い、激痛で大きく叫ぶ姿に誰もが驚きを隠せない。


もしこれがドレットノートではなく、半分にも満たないサイズの魔物ならば確実に一撃で狙った部位を吹き飛ばしていただろう

だがしかし、インクリット達が戦う魔物は想像以上の巨躯を持ち、ムツキの怪魔法だけでは倒れる事はなかった。


『ガガガガゴッ・・・』


だが明らかにダメージを負っており、左手で顔を覆いながらも血を止めようとしているのがわかる

たまらず僅かに後方に下がるドレットノートは初めて追撃を恐れた。

この中に自分を脅かす者がいる、しかし視界がまだ完全に回復していない

右目は?もう何も見えないが左目は生きている

ならばまだ戦える、魔物は単純にそう考えた


『ムツキさん…』

『凄い威力の魔法ですが、これでも倒れないというのは…』


ムツキは苦笑いを浮かべる

普通は倒れても可笑しくはない威力に倒れないのがBの上位に位置している証拠

せめてあと1発、そう願っていると徐々に勝機が見え始めた事によって徐々に冒険者が動き出す


『ライト!』

『ライト!』

『ライト!』


単純な光魔法ライト

それはダメージを与える効果は無く、明かりの役目しかない

魔法使いらはドレットノートが今なら光に異常な反応を見せると判断し、持っている者が発動し始めたのだ


『ゴロッ!?』


ドレットノートの周りにまとわりつく光の球体、狙い通りにライトに意識を奪われていると、隙に敏感な者達は動き始めた


『おぉぉぉぉ!』


インクリットはドレットノートの首を狙って勢いよく飛び上がると武器を振る

皮膚を通り越し、肉に達した攻撃は更にドレットノートの血を流すがインクリットは振り向き様に悔しい顔を浮かべた

首に流れる頸動脈を狙えなかったからだ


アンリタがドレットノートの脇腹を貫き、屈んだ瞬間にクズリが全速力で右足に体当たり

ガクンと僅かにバランスを崩しても倒れる事はない


『がはっ!』


クズリを蹴り飛ばしたドレットノートは頼みの綱である左目だけを手で守りながら戦いを強いられた。

周りを取り囲む人間は先程とは違い、好戦的だ。 


数人を大剣で両断したり、蹴り上げてもムツキが視線にいるだけで、ドレットノートはいつも通りの戦いが出来ないでいた。

あの魔法さえなければ、と魔物は思った


『ゴロァァァァ!』 


がむしゃらに大剣を振り回すドレットノートだが、回避に意識を向け始めた冒険者らにその攻撃は当たらない

いかなる強靭な力を持った攻撃でも、避けてしまえば意味を持たない

そんな空間で戦うインクリット達は精神と体力を削りながらも光の球体がドレットノートの顔の前に移動した瞬間を狙って足元を狙う


『一応みみっちぃダメージは入ってんぞ!』


クズリは叫ぶと、誰もが希望を持ち始める

何故ここまで動けているのかはムツキがドレットノートの意識を向けているからだろう。

ドレットノートは脅威をムツキに感じていたのだ。


だがしかし、ちょっとした不都合な状況でも最悪の事態に陥る事はある

アンリタが背後から足元を狙おうと他の冒険者と近づいた時にそれは起きた


『ゴロッ!』


地面を強く踏んだだけでドレットノートは風圧を生み、周りにいた人間の態勢を崩す。

比較的体重の軽いアンリタは僅かに吹き飛ぶと、振り返ったドレットノートが大剣を振り上げた瞬間に息を飲んだ。


(やばっ…)


急いで立ち上がろうとした拍子なのか、小雨は彼女の味方になってはくれない

足元を滑らせ、このタイミングで彼女は尻もちをついてしまったのだ。

ムツキの次に鬱陶しい攻撃をしてくる人間のメスだとドレットノートは認識しており、振り向いた際に直ぐ目がいったのだ


『アンリタァ!』

『くっ!』


クズリは叫び、ムツキは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべた

ドレットノートの劣勢と思いきや、自慢の底なしの体力と忍耐力を活かしての消耗戦で着実に仕留めていく気でいたため、片目を失っただけでは決して止まらない

ムツキを無視してでも殺す相手を決めたその大剣は迷うことなく、彼女に振り下ろされた。


今誰が救えるか

今誰が近いか

この光景を見てしまえばインクリットが彼女に一番近いが、間に合うとは思えない


(なんで!!)


彼は悔しさと怒りを脳裏に焼き付けた

一番無茶な行動をし、一番槍癖が強い双剣使い

それは彼の幼い頃のトラウマが植え付けた直らぬ病でもある。


(また守れないのか!)


インクリットは幼き頃、とある事件で目の前で人が死んでいく姿を見たことがある

その光景が彼の視界にまた生まれようとしているのだ

幼馴染が魔物に襲われ、助けることが出来なかったあの頃は彼の脳裏に焼き付いている


(もう駆けれなくてもいい!この一瞬だけでも!)


声にならない声を出し、彼は両足を酷使せんと地面を強く踏み出す

僕が間に合わなければ彼女が死ぬ、明白である未来を救うために動いた彼が見た光景は予想外な展開を迎えた。


魔力袋には色がある、しかし重要なのはそこではない

何故グスタフが彼らに目を付けたのか?

その袋を締める紐に色が無色ではなく、属性神からの加護を持つ証明でもある金色の輝きをしていたからだ。

英雄になる素質を属性神は与えた、その存在は今ここで途絶えるわけにはいかないと言わんばかりに動き出す


【健気な坊やね】


『っ!?』


脳内で響く声、そして同時に起きた全ての光景が時間が止まったかのように動かず、そしてモノクロの世界と化す

自分さえも駆け出している形で止まってはいるが、意識はある

何が起きたのか彼には分らず、焦りが困惑を覚え始めていると背後から緑色の光が彼の背中に差し込む


姿は見えない、しかし巨大な気配だけは感じる

それはあの人と同じような大きすぎる気配

だが恐怖は無く、優しくそして心地よい


【人間は欲張りだけど、貴方は本当に無欲】

(誰だ!)

【自分の事より他人の事、底なしの善人って損するのよ】


包み込まれそうな感覚を覚えるその声に、インクリットは冷静さを徐々に取り戻していく。

普通ではない存在なのは確か、敵でもない事も確か

ならばその答えは彼女から言い放たれるであろう。だから彼は訴えた


(もう駆けれなくても良い、今だけ力が…)

【駄目、ずっと駆けなきゃ。正しい善人にはデメテルちゃんが背中押さないとね】


シドラードの信仰する神は水神アフロディーネ

そしてこのファーラット公国はとある神の信仰が公国内に轟いていた


豊穣神デメテル

彼女は背後からインクリットの両肩を優しく掴むと、首元に唇をつけて囁いた


【ようやく力になれる…本当にごめんなさい】


切ない声と共に、その存在はインクリットに姿を見せずに消えていく

徐々に戻りつつ本当に時間が訪れる事を感じたインクリットは先ほどの一瞬で流れ込んできた力を瞬時に理解し、時が始まる前に心の中で唱えた


(カゼノコ)


そして時は動き出すと、インクリットは誰よりも早く動き出していた



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