第38話 アクアリーヌ編 緊張
インクリットらを色々としごいてからの今日はアクアリーヌだ。
以前にも一度は足を運んだ事があるが、本当に良い街だ
街には水路が多くあり、当然橋もその分ある
この場所は近くの川すべてが合流する地点であり、1つとなる
だから街の横を流れる川は幅100メートルとでかいのだ
水の都アクアリーヌ
今日は街の様子が可笑しいのは運命がかかっているからだろう
騎士が多く駐在しており、街の人の表情は暗い
不安、そんな言葉が彼らの顔を見て浮かぶ
(久しい感覚だ)
騎士とすれ違いながらも感じ慣れた感覚が俺を包む
大平原にて行われる戦争は公国が不利だと言われているのだが、単純に兵数で負けてるからだ
正規の騎士3万人、あちらは平民とシドラード王国兵合わせ6万で調整されているからな
内訳として兵民1万、他は王国兵さ
(前に兵民をたたせるのだろうな)
兵の錬度は公国が有利、しかし数で負けていれば消耗戦という単純なやり方を強いられる
飽くまでこちらは防衛布陣、待つ構えだ
(さて…本部か)
集合場所はアクアリーヌの街のとある宿
そこを上位貴族が貸し切りにして作戦本部にしているのだ
そこに来いとジキットに言われたのでな
『目立つぞお前』
運が言い、ジキットが不貞腐れたような顔を浮かべたまま近づいてくると、そう言ってきた
ハイドは苦笑いで誤魔化してる、ジキットをフォローするのを諦めたか?
『歩きながら話すぞ?耳かっぽじって聞け。忘れたら川に沈めるぞ』
(酷い…)
ハイドが凄い驚いた顔してる
まぁ歩きながらだが、ジキットは公国の戦争傭兵も参加する内容を俺に話してきたんだ
だが数は少なく、今の所じゃ300人にも満たないかもしれないとか
『ノア様が言ってたが、彼らをどう配置させるのかの意見を聞きたいそうな』
『ガーランドはどうした?』
『おいおい公爵王をつけろ?まぁ今回の件、ノア様が指揮を取る事になったぞ』
驚いたな
ガーランドは娘にこの大事な戦を預けたのか
(ガーランドならば何とかするだろうが、ノアに託したとなると)
勝算あり、か
昔からよくわからん男だったが、適当な男ではないのは確かだ。
『こちらは貴族将校が3人に各副官が2人ずつ、あっちはヤバいぞ』
『ルーファス第1将校がいるだろ?』
『流石シドラードにいただけあるじゃねぇか』
戦場にルーファスあり、とまで言われた男だ
ケヴィン王子派閥の将校としてシドラード王国最強の将校とまで言われているのだ
彼の持つ精鋭は公国騎士も嫌だろうな
騎馬兵3000が突っ込めば大抵は穴が出きる
そのくらい兵が強い
『他にも……』
ジキットからケヴィン王国派閥の将校の名前が飛ぶ
しかし、俺は可笑しな事に気づいたのだ
シャルロット王女派閥の将校が一人だけしかいない
しかも密偵からの報告ではエイトビーストはケヴィンとシャルロットに分かれて配属されているらしい
バラバラとはどういうことだ?
『ガチで不利だな』
ジキットは苦笑いを顔に浮かべた
不利だとしても士気を削ぐことは用意だ、彼らはこの戦争の重大さに気づいてない
俺たちは本部にいくといっても、将校達と笑顔で挨拶するわけではない
飽くまで俺はいない存在、ギリギリまで相手に戦力を悟らせない作戦なのだ
貸し切りの宿、その裏口から入った俺達は厨房で待つノアと出会う
ここが秘密の集合場所とは笑えるが
ノアや他の聖騎士は真剣だから冗談が言えない雰囲気だ
『待ってました』
椅子に座り、一息つくノアは背伸びをする
そこで簡潔に彼女は説明したが、本番まで潜んでいてほしいと言われたのだ。
まぁ仕方ない事だし頷くしかない
だが1つ気になる事があるのだ
以前、ガンテイと戦っていたあのよくわからない新参エイトビーストだが、脳内を調べたらノア暗殺計画の記憶があったんだ。
彼女には伝えてる事実だ。
戦争本番前の深夜、それが起きる
だが運命は変わった。
毒を流す計画も失敗し、あの新参も死んだからな
(用心するか)
『グスタフ以外一度出てください』
これには聖騎士な驚く
護るべき主から離れろ、は彼らも納得はしない
『ノア様!それは危険です』
『皆は流石に…』
(ほぉら言われた)
『ならばジキットは残します』
『え?』
予想外な即答に目な点になるとは面白い芸を見せてくれるんだな
ジキットと目が合うと、舌打ちされた
『大事な話をします。5分後に戻りなさい。これは命令です。』
渋々厨房を後にする聖騎士たち
彼女は何を考えているのか、だいたい検討がつく
正しい判断、疑うならば味方からが今回正しい
『盗聴は?』
『無い』
『予定では2階の奥にある部屋に泊まる予定ですが。今変えます』
『正しい判断だ。』
『ノア様、そんないきなり…』
『この男は確かに裏切る要素ないからな』
『貴方も思うでしょ?ジキットですから』
『勘弁してくださいノア様。俺はこいつが信用出来ないのに』
『頼るしか活路はないのはジキットも理解してる筈です』
彼は黙ってしまう
凄い睨んできたけど、観念したのか溜め息を漏らしてか近くの椅子に座ったのだ
だから俺も座ったよ
『ゾディアックの者が本部にいる可能性が高過ぎます。私は色々と今回の戦争は深い意味があって起きたと思っております。それと…』
俺とノアしか知らない内容だ。
だが彼女はジキットにすら中身を話ささかった。
シャルロットは国で監視していた者が消えたとガーランド公爵王に内密に話していたのだ。
ファーラット公国に向かった情報があったと彼女は父に聞いていたのだ
だから今回俺達はアクアリーヌ目的の戦争ではない事はわかっている
しかし、それに目を奪われて忘れている事があった。
ノアはそれに気付いたようだ。
『シャルロットはきっと貴方を探している』
ノアは静かに、そう告げた
だからこそギリギリまで俺の存在は無い方が良い
そしてもう一人の首謀者が最悪なのだ
『ケヴィン王子は私の暗殺目的でアクアリーヌに近付けた』
その言葉に俺は驚かない
公国内で彼女を殺して得をする組織が存在しなかったのだ。
闇組織ゾディアックの存在も情報もあまりなく、倒した敵の遺品には共通する物があったから俺は気付いていた
銀貨3枚
これは公国からシドラードの領内に入る検問にて支払う入場料と同じだ
だからシドラードの組織だと思っていた
ノアは僅かに顔を上げ、俺を見つめる
先程の悲しそうな顔は直ぐに真剣な眼差しとなった
何を言われるのか、想像がつく
(ある程度、聞いたか)
『貴方はシャルロットの何だったのですか?』
『世話係だった。嘘ではない』
護衛をいつもしながら剣を少し教えていたからなぁ
これだけでノアは納得するとは思えないが、彼女はそれ以上、聞いてこなかった
『ゾディアックはケヴィン王子の持つ組織と考えるには難しいですね』
『あの馬鹿欲王子には統率は無理だ。別にいる』
『この場ではわかりませんね』
『裏の人間に詳しいエイトビーストはいる。』
『確かシャンティーでしたか?』
『きっと今回に混ざってる。暗殺に関与している可能性は高いがゾディアックと関係はあるのも確かだ』
『だから護衛、お願いしますね』
彼女はようやく笑った
こうして聖騎士を呼ぶと、彼女は厨房をあとにする
ロビーを作戦本部にしているから話し合いがあるらしい
俺は参加出来ない。だから外をあまり出歩いたらダメだとさ
『酷い』
早くそれ言ってくれ
暇過ぎるだろう…
(いや待てよ?)
エイトビーストのドウケになってあっちの様子を見てくれば良いのでは!?
とは思ったが、会いたくない者はいる
顔を見たら殺すかもしれない。
しかしドウケを大平原に立たせるのもありだな
だが今回は少し色々な思いが交差し過ぎてる
どこかでそれは面倒を呼びかねない
(いや考えろ、不味すぎる)
ドウケの姿は今はシドラードでも駄目だ
グスタフという今の身分もあちらに漏れていたら更に不味すぎる
ここは大人しくするか
『むっ?』
厨房に入ってくるのは見慣れぬ公国軍貴族将校
ノアから色々と聞いていたが
あれはディバスター第5将校だ
笑顔が似合いそうな中年のオッサン
スキンヘッドがトレードマークであり。武器は片手剣
彼は俺と目が合うと少し驚いたが、直ぐに笑顔に変わる
『例の戦争傭兵だね?私はディバスター第5将校だ、よろしく』
俺は僅かに首を傾げつつも軽く手を上げて挨拶代わりだ
厨房の中を漁る彼を見るからに不審者であり、騎士の風貌じゃなければ通報されてる
誰が通報するか?俺だよ
『あったあった、残ってる筈だからなぁ』
冷蔵庫から手にしたのはデザートだ
いつのだかわからないチーズケーキを彼は警戒せずにバクバク食べ始めたのだ
ここの宿主は冷蔵庫の中をそのままにしたらしいが、貸し切りだし沢山金を貰ったんだろうなぁ
『今回の戦、お前はどう思う?』
そう問われても俺は答えない
無言で彼を見つめ、これ以上は話してくるなと言う念を伝える
彼は苦笑いをしているから何となく伝わっているのは確かだな
『あはは、戦争傭兵はわからんな…』
最後の一口は平らげ、厨房を後にするために背中を向けたと思ったのだが
彼は食堂に出る扉の前にあった椅子に座ったんだ
面倒な男だ、2つの意味でな…
(騒ぎは起こせんな)
まだ騒ぎを起こせない
シドラード側にもこちら側にもなるべく存在は知られたくはない
だがしかし、ある程度は知られていても可笑しくない
先ずは今日の夜が楽しみだ
(こっちにはスパイが何人いるか)
いなければノアを暗殺は無理な
内通者は確実にいるからこそ俺は誰も信じていない
ある意味、表上はアクアリーヌの防衛だけで皆は考えるだろうが
ノアと俺は違う
ノアを守りながら戦う事を強いられる、外からの攻撃と内部からの攻撃
それらが確実に起きる
(…気楽な男だな)
昼寝しようとしている。
俺がいても堂々過ぎるのが釈然としない
『去れ、今疲れてる』
『わかったわかった。』
威圧し、彼を厨房から叩きだす
そうしておかないと、あとあとになって面倒だしな
(フラクタールにいたほうが楽だな)
ここまで来て放置プレイ
でもあまり人の前に出たら駄目なのは知ってるから何も言えん
こちらの将校は3人、ロイヤルフラッシュ第2将校
先ほどのディバスター第5将校にアドラ第6将校の3名
あちらは将校5名
ルーファス第1将校にリングイネ第3将校とボトム第4将校
そしてジップ第5将校がケヴィン側の将校だ
シャルロット第一王女派閥に将校はローゼン工作将校
エイトビーストの殆どが彼女側にいるのが不思議だ
あいつらは王族の指示など本当に聞かない
(動かせる理由は…)
一つしかない
予想が当たってるとしたら、シャルロットはとんでもない事を目論んでる
犠牲がデカすぎるが…、一応はそうだと思うのは時期尚早だな
(俺を探すために、エイトビーストに話しを持ちかけたか)
きっとそうならばその後に何が起きるか彼女はわかってる
それくらい重要な用事が俺にあるという事はシャルロットに俺は会わないといけない
罵られるのか、真実を聞きたいのか
俺はシドラード王国の国王を殺した
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