異世界召喚されても無能だった。
異世界召喚されても無能だった。
作者 電流河
https://kakuyomu.jp/works/16816452220447718646
異世界に召喚された雪恵徹のステイタスが低く、厄介ごとから逃げ続けて十年、山の中で怯えながら暮らす物語。
作品内容がわかるタイトルがついている。異世界転移ものかしらん。お約束である神の御加護がもらえないまま、どこかの異世界に召喚されたのだろう。どんな物語が始まるのかしらん。読んでみなければわからない。
文章の書き方、誤字脱字等については目をつむる。
主人公、雪恵徹の一人称「俺」で書かれた文体。地の文は少なく、会話で話が進んでいく。脚本みたいな印象がある。
都立の某高校に通っていた主人公は、外国に侵略されるか魔王軍に蹂躙されか切羽詰まった異世界の状況より召喚された一人だった。彼のステイタスは低く、囮という職業しかつくことができなかった。
組手法の核にある拓心武術の戦術理論に、「囮技を活かし、陰をうごかす」というのがある。宮本武蔵の五輪書に書かれている「かげをうごかす」と同じ意味だという。
武蔵の「かげをうごかす」とは、囮の技を用いて、相手が隠していた反応の癖や戦術などを手の内に見えるようにすることで、見えたと同時に間髪をいれず的確に対応をする。
優れた戦術があれば勝てると考えるのは思い過ごしなのだ。
ステイタスは低く、主役になれなくても、なかなか活かしどころのある職業である。
同じクラスのヤンキーの鮫塚仁は、最上位職の竜騎士で最強だった。クラスのカーストトップの陽キャである国実 真秀は魔力五万、全属性に適正があった。
だが、主人公には魔力もなかった。
現実世界でも魔力はないのだから、別に気に病むことはない。ないものねだりである。
そんな主人公に声をかけてきた異世界人エレナが、「一緒にゴブリン討伐に行ってくれない?」と声をかけられる。怪しんで偽名を名乗り冒険に出るも、ドラゴンに襲われ、主人公はエレナを抱えて逃げることができた。その後、彼女とパーティーを組むのが嫌で別れてしまう。
ステイタスが低く、足を引っ張ると思っているからだ。はじめから何でもできる人はいない。ゼロから地道に頑張るしかないのだ。
異世界に召喚されたとしても、彼には補助金があまりにも少ないのでクエストをして稼ぐことにする。そんなとき、エレナに偽名を使っていたことを知られ、彼女とパーティーを組むことになる。
一人ではできないことも、誰かとならば人生は遥かに違う。
冒険をして、宝箱を開けると風の大妖精のシルフがでてくる。彼にしか、シルフは見えなかった。
異世界召喚してきたから、シルフが見えたのかもしれない。
ある種の特権である。
あるとき、白装束のXXX教信者が「強引に異世界に召喚され、使えないと捨てられ悔しくないのですか」「さぁ共に立ち上がりこの国に反旗を翻そうじゃないですか、同志よ !」と声をかけてくる。
そこに駆けつけてくる王国騎士団のフリードリヒ・フォン・ボイテルロックとクリスチャン・フォン・グラヴナーが現れ、戦闘になる。主人公は逃げ出す。
逃げるしかなかったのだろうか。
それ以前に、パーティーを組んだエレナはどうしたのかしらん。
シフルの支援魔法は、風属性の適正がない主人公にはかからなかった。王国騎士団に目をつけられ、逃げてしまったため、見つかったら殺されてしまう。
契約をすれば移動速度が速くなるというシルフの申し出を、「契約って気が重い」という理由から断ってしまう。
以来十年、山の中で王国騎士団に怯えながら暮らすこととなる。
勝手に召喚された主人公はたしかに可愛そうである。
ステイタスが低かったことで卑屈になってしまい、後ろ向きな行動をし続けた結果、「どこで道を間違えてしまったのだろうか、いや、どこで夢なんて見てしまったんだろうか」と嘆くことになったのだろう
本作を反面教師とすればいい。異世界に召喚、を比喩として現実に置き換えて読むことができる。
本人の意志に関係なく与えられた場所で、いかにがんばれるのか。できないことより、できることを伸ばしていくことの大切さを、描きたかったのかもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます