嫁は二次元だけじゃない。

嫁は二次元だけじゃない。

作者 灯雷

https://kakuyomu.jp/works/16816700426460390496



 アニメオタクの流山勇人はラブライブをきっかけに知り合った松戸凛とアキバデートを経て好きになり、カップルになる物語。



「うん、そうだよね」とうなずいてしまうタイトル。内容はおおよそ予想はつくが、はたして本当に合っているかは、「読んでみてのお楽しみ」である。


 文章の書き方については、とりあえず目をつぶりたい。

 基本は、流山隼人の一人称「俺」、六話は松戸凛の一人称で書かれた文体。

 ただし、途中で地の文が三人称になったり、凛視点になったりするところがあるため、違和感をおぼえてしまう。


 たとえば最初のDMのやり取りが終わった後、「楽しみだなぁ」と思ったあとで、「俺は楽しみにしながら」と説明をつづけなくてもいいのに。

 こういう感じの所が、いくつか出てくる。

 一人称ではなく、三人称のほうがいいかもしれない。

 三人称がいやなら、各話ごとにキャラ視点を替えるとか。

 そういった工夫がされると、面白さがより伝わってくるとおもった。


 早いうちから元カノの復讐説がでていたので、後半そのような展開が起きるための伏線かとおもっていたけれども、そんな事態にはならなかった。

 今回の話は、今後も続くと思われる話の第一章らしいので、第二章以降にそのような展開がおきるやもしれない。


 六話は、隼人とデートに行ったときの凛視点で書かれている。

 あのときの反応はそういうことだったのね、ということをわからせてくれるのだけれども、ラストに付き合うことをもっていくなら、カットしてもいいかもしれない。

 デート時の反応に気になって不安になり、過去のことを話して、渋谷のデートを楽しく過ごし、カップルになれたという流れだと、「よかったー」で終われる。

 なのに、隼人は彼女が好き、凛も彼が好きとわかった状態でラストを迎えて「俺たちはカップルになったらしい」で終わるので、生煮え感が残ってしまう。

 今後も続くつもりのようだけれども、「カクヨム甲子園2021」の作品としてはどうなのかしらん。それは私にはわからない。

 

 インスタグラムのDMをつかったメッセージのやり取りがいい。

 ラブライブの話とか、アニオタ仲間のこととか、アキバデートとか渋谷デートとか、いいところはある。

 私はラブライブは見てきたとはいえ、推しがいるほどオタクでもないけれども、ネットを介して好きな作品で盛り上がるところにリアリティーを感じる。

 

 勇人がクラスの女子に呼ばれて廊下に出てはじめて松戸凛に会うとき、「身長は160cmくらい、髪の毛はサラサラの茶髪がかったロング、目はくりんと丸く、瞳がきらりと輝いている。胸は日本人らしいちょうどいいサイズ」と、彼が彼女を見ている様子が書かれている。

 男性は無意識のうちに女性の体に目がいってしまう本能があるそうで、何も考えずぼーっとしていると勝手に目が胸元にいってしまうのは、いやらしい意味で見ているのではなく、綺麗な風景を眺めている感覚だという。

 あとはその人の年齢や好みで見る所がちがい、十代は顔、二十代は胸、三十代はお尻や腰のくびれ、四十代は足と下半身、という具合に年齢が上がるごとに下がっていく傾向がある。 顔より下から上へ舐めまわす視線を向ける男性は、下心がある可能性があるとかないとか。

 それはともかく、こういった些細なところからも勇人がどんな子なのかがわかる。


 二人のやり取りは楽しそうで、雰囲気がよく伝わってくる。

 面白そうと思わせることが出来ているので、一度出来上がった作品を音読して、おかしなところはないか気になるところはないかを見直し、推敲や添削してみると更に良くなっていくと思った。



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