前髪長くて邪魔そーだなって

1年生が音楽室に入ってきて、予想より人数が多かったため各階にある少し広めのスペースで円になるという事になった。

今のところ人数が結構いるってことくらいしか1年生の情報はない


「じゃあとりあえず、各楽器の名前とか簡単な説明してから3年生から順に学年と名前とパート、意気込みを言って貰います」

「金管から木管、打楽器の順でお願いします」


「じゃあトランペットから行きますー」

「トランペットはマウスピースを振動させて音を鳴らす金管楽器で.....」


楽器をみんなに見えるように見せながら3年のパートリーダーが楽器紹介をしていく

ほとんどの楽器の名前とかは知っているので右から左へと聞き流す


そんでいよいよ自己紹介をする時間になったんだけど、、、緊張してきた...噛んだらどうしよう

だって1年生結構多いんだもん!20人くらいいるんだもん!



「私は3年の部長をやらさせてもらっている森北夏羽です。クラリネットをしています。3年生は夏で引退なので、それまでの間1、2年生に自分の持っている全てを受け継いでいってもらえるように頑張ります!」


さすが、さすがすぎる夏羽先輩。完璧

ていうか意気込みってなんて言えばいいの?1年生に尊敬して貰えるような先輩になれるように頑張ります?

1年生を引っ張って行けるように頑張ります??こんなん小学生の日記みたいじゃん。でもいっか中身小学生みたいなもんだし。

あ、もう少しで私の番だ



「えと、私は2年の桜庭ひなのです。クラリネットを吹いています。今までは先輩に頼ってばっかりだったので次は私が1年生を引っ張って行けるように頑張りましゅ、あっ、ま、す」

「ぶふっ!」


おい、今吹いた奴、優香だろ。隣で顔隠して笑ってる心、お前ら許さんからな

てか先輩も笑ってるしめちゃくちゃ恥ずかしい

自分の顔が赤くなっていくのが分かる、今多分私の顔りんご。恥ずかしいどうしようしかも1年生の前で

もう無理だ、終わったわ、主に先輩としての威厳と完璧に自己紹介をしたいという私のプライド


あっ1年の自己紹介始まった。これは真面目に聞かないと。いや今までも真面目に聞いてたけどね?!


「私は1年の古城ふるき新奈にいなです。吹奏楽は初めてですが一生懸命頑張るのでよろしくお願いします!」


古城かぁーなんか珍しい苗字だなー。初めてねぇ、私と同じようなもんだなー。てか髪の毛めちゃ綺麗。さらさらだってすぐ分かるわ


「私は1年の松成まつなり有加里あかりです。中学ではテナーサックスをしていました。よろしくお願いします…!」


んーーー、なんか淡々としてるけど芯がある声してて髪はショートだけど前髪だけがめちゃくちゃ長い 子だな、目が見えん


その後は特に気になる子の自己紹介はなくて普通って感じ。あっでも1人中学の後輩いたわ。後で話しかけとこう


自己紹介が終わったあとは気になる楽器とか、昔やってた楽器のところ行くとか結構自由な時間になった


「ひなのさーん!!」

「んー?」

「私のこと覚えてますか??」


上目遣いで私のことを見てくるボブの外巻き&タレ目ぎみのこの女の子はさっき見つけた中学のかわいいかわいい後輩ちゃんだ


「覚えてるよ〜!えと確かー赤坂真奈!!」

「はぁッ!覚えててくださったんですね...!感動です...!中学の時は途中から急にマヤって呼んだり、マサって呼んだり、誰ですかその男って感じでしたもん」

「え、えー?そうだっけなー?いやーそんなことないと思うけどなぁ?あれ?」


...。これに関しては本当に申し訳ない。違うんよ、言い訳を聞いてください...

あの時は親が私を塾に行かせ始めた時期で長時間の勉強によるキャパオーバーで記憶がね?あったりなかったり?まあ、そのおかげでそこそこ頭良い高校入れたんだけど


「てか真奈ってそんなに頭良かったんだ?」


私が記憶している真奈は結構おバカだった気がする。いやこれはちゃんとした記憶ね?


「えっ失礼じゃないですかその言い方!?いやまあ確かに良くはありませんでしたけど...」

「あっもしかして私に会いたくて頑張ってここ来たとかー?」


にやにやしながら冗談を言ってみると


「うぇっ?!え?いや、そ、そんなことあある訳ななないじゃないですかかか」

「え??まさかの図星?ふふっ可愛いとこあんじゃーん!」


と言って真奈の頭の上に手を乗せて撫でる


「かわいいねえ??」

「っ!か、からかわないでください!」

「顔がりんごのようだ」

「それは自己紹介の時のひなのさんもじゃないですか!!」

「あっ!ヨウジヲオモイダシター」

「にげたー!!」


いやー久々に話すけどやっぱり真奈面白いな

口角上がりっぱなしだったわ


あ!!新奈ちゃんと有加里ちゃんがいる!

仲良いのかなー?話しかけに行こう!

1人は緊張するから優香も連れてこ。こいつ吹きやがったし


「こんにちはーおふたりさん」

「あっこ、こんにちは!!」

「新奈ちゃんだよねー?ちょーかわいい」

「こら優香、話しかけ方がチャラすぎる」

「えーそうー?普通じゃないー?」

「普通じゃない!ごめんねー?2人とも、優香が変な話しかけ方しちゃって」

「全然大丈夫です!!」


新奈ちゃんめっちゃ緊張してんな

有加里ちゃんは逆に落ち着いてるけど


「有加里ちゃんってさ、テナーやってたんだよね?ちょーかっこいいー!」

「はい、父がテナーを吹いていたので...」


と、優香が有加里ちゃんに話しかけているが、それよりも気になることがある。

それは……前髪で目が見えないことだ!!!


なんも見えんがちで!よく優香普通に喋ってんな?どこ見て喋ってんの?

あの前髪の下が気になる!めっちゃくちゃ気になる!1ヶ月の中で1番気になる!ちょっと前髪どけても怒られんかな?おこられんよな?な?な?


ちょっとだけ、先っちょだけだから、ぐふふ

有加里ちゃんの前髪をちょっとだけ斜めに指で流してみた


そして黒い前髪というの名のカーテンから見えたものは.....



すっごいおっきい///おめめでした。

いや別にすっごいおっきいって言い方に深い意味は無い

てか普通にかわいい。前髪切って欲しい。


「っふぇ...えっ!?」

「え?ひなの急に何してんの?!てか!有加里ちゃんめっちゃかわいーじゃん!!!やば!」

「有加里ちゃんかわいい...!」


ほら新奈ちゃんも言ってるよかわいいよねやっぱり


「ちょ、せんぱい…!!」

「い、いや、前髪長くて邪魔そーだなって」

「急に前髪触られたらびっくりしますよ…!」

「ご、ごめんなさい...」

「あ、いや、謝らないでください...!」

「うぇ?じゃあどうすれば.....あっ、今日の部活終わり空いてる??良かったらお詫びになんかおごるよ」

「いやだいじょ「いやで連れてくからね」


よし、ケーキでも奢って許しをいただこう

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