第1-4話 悲鳴
誰かの記憶が流れ込んでくる。これは、桂木美琴の記憶だろうか?
「君を殺すよ」なぜか聞き覚えのある、太い声が背後から聞こえた。振り向くとそこには藤本康太郎の姿があった。その瞬間呼吸ができない状態に陥った。「く、苦しい...痛い...助けて...どうして」記憶を介して首を絞められている感覚と彼女の悲鳴が伝わってくる。「あ、がぐっ!!」咸月は嗚咽を吐きながら暗闇に映る藤本の顔を確認した。だめだ、これ以上干渉すると危険だ。自分の身体が拒絶し始めているのを咸月は感じ取った。「どうじでな....」桂木の声とともに目の前が真っ暗となった。
「ゲホッ、ゲホッ」咸月は咳き込む
「咸月、大丈夫か!?しっかりするんだ!!」プシュケを通じて声が伝わってくる。
「進藤さん...」咸月は振り絞るような声を発した。
「よくやった、上出来だ」
「犯人は藤本康太郎で間違いありません」
「あぁ、藤本康太郎の思念体とパスも繋がっている。後はヤツの思念体に触れるだけだ」
咸月は彼女の命の残穢を確認した。淡い色をした細く小さな光が奥にある光の塊、藤本康太郎の命の思念体まで繋がっていることを確認した。
「榊さん!!」進藤は叫んだ。
「聞こえているわよ。」榊は応える。
「ライフトレースの準備は完了したと甘利さんに伝えてくれ!!」
「了解。こっちの方でもあなたたちの周りにプシュケが集まってきているわ。終わったら紬ちゃんにご褒美をあげないとね」
「甘利課長、聞こえてます?」榊は別の無線を繋ぎ訊ねた。
「こちら甘利、聞こえている」図太い声が無線から聞こえてきた。
「咸月ちゃんチーム準備完了よ。そちらはちゃんと準備できてる?」
「俺を誰だと思っているんだ。こっちはいつでも突撃可能だ。住民の避難も済んでいる。後は袋の鼠になっているやつを捕獲し人質の救助を行うだけだ。」
「さすがエリートさんは手際が良いわねぇ」
「余計なことは言わなくていい」
「相変わらずお堅いんだから」榊は不満げに応える。
「曇、突撃の準備だ。しくじるなよ」
「分かってますよ、課長」曇は続けた。
「でもやっこさん相当負担が大きそうだから早く解放してああげたほうが良いかも」
「了解だ。進藤と咸月に始めるよう伝えてくれ」
「しんちゃん、紬ちゃんこっちも準備完了よ!!」
咸月は彼女の声と同時に藤本康太郎の命の思念体に触れた。
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