第1章 王宮へ

「龍の一族・・とみていいかな?」

「そうだ。仲間になるためにきた。」

「わかった。じゃあ、来てくれ。」

「どこに?」

「王宮にだ。」

3人はいきなりの発言に驚いた。初対面の自分たちを信用しおそらく、一族の中心部へと案内しようとしているからだ。

「ちょ、ちょっと待ってくれ。自分でいうのもおかしいが、大丈夫なのか?」

「ああ、私達の一族は先祖を敬い、教えであったり習慣を大事にしてあるんだ。君たちが来ることも教えにあったんだ。だから、信用する。」

言っている事は、本音だろう。しかし、彼の目を見てウェイドは直感していた。己の力に絶対の自信があり、もし自分たちが牙を向けようがその時は力でねじ伏せれることができる、と。だから、王宮へと招待できる。はたして自分はそれほどの力があるのか、いずれ王になる身としてウェイドは焦る気持ちが出てきていた。

「わかった。行こう」

「ありがとう。サモロア手伝ってくれ。」

すると彼らの体が変異していく。背からヒレ、手に水かき。体もいくらか大きくなっているようだ。

「背に捕まってくれ」

3人が背中に捕まると、息を止めるようにと言うと、海へと飛び込んだ。

ものすごい勢いで進んでいく。

(これが海に生きる種族か)

島の下には太い根っこが生えていて海中奥深くへと伸びている。深く深く果てしなく伸び、底が見えない。水中で彼らより早く泳ぐことができない。息もできない。辺りも暗くなりつつある。3人はこの不気味な空間に恐怖すら感じつつあった。

すると、ジェラードが根の前で止まると手で押しはじめながら

「大丈夫か?もう息しても大丈夫だ。」

中は真ん中に一本太い根が通っているが4.5人はくつろげる空間がある。

「はーはー。ここは?」

「休憩室だ。ここから下に行こう。」

「助かったぜー。このまま溺れさせられるかと」

「ははっ、すまん。侵入されぬよう海面から遠ざけてるんだ。」

「そういうことか。確かにこれならそう簡単には攻め込めれねえな。」

「どこから下に行くんだ?」


「よっこらせっと」

サモロアが部屋の隅の床を持ち上げた

「あそこからだ」

覗いてみると螺旋状の階段のようだ。

「さあ、行こう」

ジェラードが先頭を切って歩き出した。

「とりあえず少し歩いてまた泳ぐけど大丈夫か?」

「ふっ、おれらに怖いもんはねーよ。どこにでも行ってやら―」

ブロウが即答した。

「頼もしいな。そのあとは、客室を準備してる。そこで食事をしよう。いろいろ話してみたい。」

「わかった。だが、手短に頼む。この同盟を結んで3種族集まりたいんだ。」

「森の一族か。」

「知ってるのか?」

「ああ、そのことも受け継いでる。ま、話はあとでしよう。そろそろ海中を移動する。」

「またかよ。」

「本当は一気に泳いでいくんだぞ」

「うそだろ?どんだけ息持つんだよ」

「はは、さすがは海に住む一族だな」


そして、再び海へと飛び出した。さきほど見た海と比べるとあまりの違いに驚いた。

辺り一面黒く何も見えない。

(この暗闇の中本当にたどり着けんのかよ)

ウェイドの心配をよそにどんどん進んでいく。どれくらい進んだろうか、少し苦しくなってきたころ、ジェラードは何かに手をかけた。

ガチャ

「ここだ」

開けると、先ほどと同じような部屋があった。しかし、中央に根はなく広く感じる。

その代わり、中央には丸いテーブルが置かれており、上には料理が並べられている。

「さあ、ゆっくりしてくれ」



補足

海の一族

組織

長老 ジェンキンス 師団長 ジェラード 副士団長 マルシャラ

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る