第10話

使っていたテレビはフラットな液晶テレビだったのだが、震災の時に倒れて完全に壊れてしまったのだ。



「ちょっと待って? この町は捨てられた物の魂でできてるって言ったよね? だったらどうしてテレビだけないの?」



「理由は簡単だ。捨てられた時にまだ使える状態ならここへたどり着くが、そうでなければそのまま成仏するんだ」



カエルが言う。



「テレビは完全に壊れてしまったからここにはないってこと?」



「そう言う事だ。捨てられた物のすべてがこの町に集まっていたら、人口が増えすぎて町にいられなくなるだろ。ここにいる魂が町に止まっていられる期間も50年と決まっている。その期間が過ぎれば自然と魂も消えるんだ」



「そっか」



この町に来る物にも制限があるらしい。



あのテレビの魂は壊れた時に成仏したのだ。



「早くこの妙な夢から覚めたいよ」



僕は畳の上に座ってそう言った。



カエルが僕の膝の上に飛び乗り、そして僕を見上げて来た。



「まだ夢だと思ってるのか?」



「当たり前だろ。物の魂が集まる場所に僕がいる理由がわからないもの。夢の出口を探さないと」



僕がそう言うと、カエルは僕から視線を外したのだった。

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