6-10 必殺技

「エグォブリオンの攻撃を避けて、奴にできるだけ近づいてくれ、そしてすぐに離れる。その繰り返しで行くぞ」


 京子は拓哉の指示通りにした。初めは怖くて近づけなかったり、逃げるのが遅れたりしてダメージも受けたが、五回目くらいにようやく攻撃できる距離まで近づけるようになった。


 拓哉の剣が赤く光り、更に雷を帯びた。


 ライジングサンダーショット!!拓哉の必殺技がエグォブリオンの胸にヒットした。更に次の攻撃も、そのまた次の攻撃も、全ての攻撃が必殺技となった。


 苦しくなったエグォブリオンは状態異常を起こす魔法を連発したが、拓哉には全く効かなかった。


 これら全ては京子の能力によるものだった。京子のツノを持っている限り必殺技のゲージは上がり続け、状態異常は起こさせない。そういう稀有な特性を持った竜が京子だった。


 拓哉との相性は最高な上、京子は攻撃を避けながら飛んでいるだけという、正に最強で最適な竜だった。


 エグォブリオンの肉体は、拓哉の反則とも言えるほど強烈な攻撃を立て続けに受け、ただの肉片と化した。


(これでクリア)……二人ともそう思った時、地面が唸るような音を立てて、揺れ始めた。


 エグォブリオンの肉片が真っ赤に燃え、流れ出る溶岩と混じり、竜巻のようになると、中から炎に包まれた翼を持つ鬼のようなモンスターが現れた。


 拓哉は再び攻撃を続けた。


「ふあっはっはっ……そんな攻撃は効かぬわ」


 炎の鬼と化したエグォブリオンの口から、拓哉めがけて無数の炎の槍が発射された。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る