6-8 守護竜
城の門の前で目が覚めた拓哉は、そこを離れ、ゲームの世界を放浪していた。影ボス
それでもエグォブリオンと戦う方法は見い出せていなかった。一つだけ。「竜の卵」という新しいアイテムが気になったが、今からそれを探し、理想的な竜を育成するには、どれだけの時間がかかるのかを考えると、とても効率の良い方法とは思えなかった。
拓哉が情報を整理しながら、ゲーム内の自宅の庭で休んでいると、ソフトボールくらいの大きさをした青紫色の生き物が、飛んできた。
「なんだお前、竜?それにしては小さいな……どこから来た?」
「クェー」(拓哉、私よ。助けに来たのよ)
京子は叫んだが、声にはならなかった。竜は本来ノンプレイヤーであり、決まった言葉以外発しないのだ。
「たっくん、どうした?」
家の中から、変な帽子を被った、神父のような格好をした男が現れた。拓哉はその男をシンと呼んだが、京子は会話を聞くうちに、それが次男の真吾だと気づいた。
「なあ、この竜の属性見てくれよ」
ゲーム内に入った拓哉は、外から分かるデータが見られないのだった。
「竜の所有者をたっくんにしないと見れないよ。ただ……ちょっと待って、今調べるから」「その色の竜はまだ存在しないよ。竜って炎とか氷とかあるでしょう。そのどれでもない。きっとレアなやつだよ。兄……たっくん、どうせ守護竜いないんだし、もらったら?」
ここまで話すと、真吾は消えていった。大学の勉強が忙しく、これからレポートを仕上げるらしかった。京子は真吾がきっちり勉強しているようで、安心した。
「噛んでくれよ」
拓哉は、京子竜の前に右手人差し指を出した。京子は言われるまま噛みついた。これにより竜の所有者は拓哉となるのだった。
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