6-7 京子の役割(2)

 梢女は、ゲームでの京子の役割を話した。


 京子は拓哉を守護する竜としてゲームに入る。竜は本来、拓哉が属性などを考えながら育成していくものだが、京子は最強の竜としていきなり拓哉の元へ行く。竜に乗った拓哉は巨大な影ボスとも十分に戦えるようになって勝利する。ということだった。


 当然、話の内容をあまり理解できないままの京子は、それでも梢女についていくしかなかった。浴室に入ると、梢女は、黒い扉の中にある岩風呂に入るように言った。


「何?このお風呂……お風呂に入ることと、さっき話したことと何が関係あるの?」


「拓哉さんはアカウントがあって、しかもある程度アバターを育てていたから、私の力で拓哉さんの能力を高めることができたのです。でも京子さんは、ゲームとの接点がない上に、竜というのはゲーム上のキャラだからそこに魂をのせるのは大変難しいのです。……私にはできません。このお風呂は黄泉の国とつながっています。黄泉の力を借りなくては、京子さんの魂を転送できないのです」


「ごめんなさい。もっと分かるように言ってもらわないと、全く理解できません」


 梢女は京子にも分かるように、丁寧に丁寧に話した。


「やっぱり分かんない。でもこの風呂に入れば、拓哉の所へ行けるのですね」


 何か薄暗くて、気味の悪い岩風呂だけど、風呂に入るくらいなら……。そう思って、京子は肩まで浸かった。


 扉をバタンと閉めて梢女が出て行くと、京子の体が光り始めた。光は無数の数字の集まりのようにも見えた。やがて光はバラバラに散り、京子の意識は別の場所に飛んでいった。

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