1-3 悲しい思い出

「悩みというほどではないけど、悪夢はよく見ますよ。……昔のいじめのシーンなんです。……あっ、俺じゃないですよ。俺がいじめられてたわけじゃなくて、俺の幼馴染みがいじめにあってたということなんですけど……そいつ自殺しちゃったんですよ」


「そうですか。それは出来事でしたね。良ければもっと詳しく聞かせてもらえませんか?その幼馴染みのお友達の話とか……お助けできることがあるかもしれません」


 ここまで話すと誠也の話は止まらなくなった。


「自殺した幼馴染みとは小二からの付き合いで、……部活も高校も一緒だったんです。……で、高一の夏くらいから、そいつ部活でいじめられるようになって……それが原因かはわからないんですけど、……もちろん俺としてはなんとか助けてやりたいとは思っていたんですよ。けどね、……結局何もできなくて、そいつ高二に上がると同時に転校しちゃったんです」

「ただ俺もそれで安心したっていうか、これであいつも解放されたなって……でも転校した年の夏、自殺しちゃったんです。転校先でもいじめられたらしくて。ニュースでそう言ってたんですけどね」


「親友が自殺するなんて、大変でしたね。しかし自殺されては謝ることもできませんね」


「えっ?謝る?どうして?俺は心配して見てただけですって」


 誠也は些か不愉快な顔をした。


「あっ……そうでしたの。それは失礼しました。罪の意識で悪夢を見ているのかと思いましたので……」


 予想もしなかった梢女の返答に苛立ちを覚えた誠也は、席を離れようとした。


「もういいですか?全部過ぎたことなんで、解決できることなんて何もないですよ。俺が勝手に夢を見てるだけですから」

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