1-3 悲しい思い出
「悩みというほどではないけど、悪夢はよく見ますよ。……昔のいじめのシーンなんです。……あっ、俺じゃないですよ。俺がいじめられてたわけじゃなくて、俺の幼馴染みがいじめにあってたということなんですけど……そいつ自殺しちゃったんですよ」
「そうですか。それは
ここまで話すと誠也の話は止まらなくなった。
「自殺した幼馴染みとは小二からの付き合いで、……部活も高校も一緒だったんです。……で、高一の夏くらいから、そいつ部活でいじめられるようになって……それが原因かはわからないんですけど、……もちろん俺としてはなんとか助けてやりたいとは思っていたんですよ。けどね、……結局何もできなくて、そいつ高二に上がると同時に転校しちゃったんです」
「ただ俺もそれで安心したっていうか、これであいつも解放されたなって……でも転校した年の夏、自殺しちゃったんです。転校先でもいじめられたらしくて。ニュースでそう言ってたんですけどね」
「親友が自殺するなんて、大変でしたね。しかし自殺されては謝ることもできませんね」
「えっ?謝る?どうして?俺は心配して見てただけですって」
誠也は些か不愉快な顔をした。
「あっ……そうでしたの。それは失礼しました。罪の意識で悪夢を見ているのかと思いましたので……」
予想もしなかった梢女の返答に苛立ちを覚えた誠也は、席を離れようとした。
「もういいですか?全部過ぎたことなんで、解決できることなんて何もないですよ。俺が勝手に夢を見てるだけですから」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます