1-4 悪夢の清算
「悪夢を見ないようにできる。……としたら、どうします?」
「そりゃあ、そんなことできるなら……頼みたいけど……」
「では依頼成立ですね」
梢女は右手を誠也の顔にかざした。誠也は反射的にそれを避けた。
「一瞬でいいです。動かないで。ただのおまじないと思って」
「なんなんですか」
不信感でいっぱいの誠也に、梢女は再び右手をかざした。
「これでいいでしょう。ゆっくりお風呂を楽しんでってください。ただ一つお願いがございます。できるだけ早く奏多さんが自殺した場所を訪ねてください。そうすればあなたの悩みは解決しますから」
梢女と離れ、浴槽に向かうところで、誠也に一つの疑問が浮かんだ。
(あれ?俺、奏多の名前教えたかなあ。……まあ、いいか。どこかで言ったような気もするし……)
誠也は疑問をかき消すようにお風呂に向かった。
悪夢を見ないようにするという梢女の話を少しだけ信じた誠也だったが、悪夢が消えることはなかった。
「ちっ!やっぱりペテン師だ。あのおばさん」
悪夢は次の日もそのまた次の日も続き、誠也を苦しめた。
「そう言えばあのおばさん何か言ってたな。あいつの死んだ場所に行け……とか。気持ち悪いけど行ってみるか」
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